街を歩く
飲み会が終わって、特に二次会がある様子でもなかったので挨拶をして店を出た。この街は土曜日は混むほどではないけれど、歩く人の数は間違いなく増えるので、賑やかであると言われれば賑やかだ。
駅の方向をスマホの地図で確認して、そちらへ歩き出す。ところどころ屋台が営業していて、そこからおいしそうな匂いが漂ってくる。お腹はいっぱいだったのでそのまま通り過ぎたら、横断歩道の赤信号に足を止めさせられた。
大きな交差点だった。横断歩道の向こう側にはスーツ姿のサラリーマンらしい人たちと、飲み会終わりか三人の女性組たち、ぽつぽつとひとりとひとりがそれぞれ青信号になるのを待っていた。
少しすると青信号になり、それに合わせて僕も横にいる人も向こう側の人もそれぞれ動き出す。それぞれの行く方向に向かって。
僕は家に帰る、あの女の人は?カラオケに行ったりするのかな、あの男の人は?ガールズバーだろうか、あのサラリーマンは?家族がいる家に帰るのかも。
どうでもいいけど。
向こう側に渡りきると、その先はあまり人は少なく、街灯が綺麗に光り並ぶ道だった。車が行き交う音が絶え間なく続いた。少し大きく息を吸って、ため息をついた。ちょうどバイクの走る大きな音が通り過ぎていって、自分のため息の音がかき消された。
何もない一日だったなあ。
しばらく歩くと、駅にたどり着いた。
切符を買って改札に入り、ホームのベンチに座って帰りの電車を待った。
日々 広夢 @hiromu3698
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