ガレージ
ガレージの中は聞いていた通り埃だらけだった。
真っ白な雪が積もったみたいに、綿みたいな埃の塊が積もり積もって5センチくらいのフカフカの層になっていた。
大量の埃は、もう何がどこにあるのか分からないくらいにあらゆるものを覆い隠してしまっている。
そんな部屋の真ん中に、ちょうど人が一人座っているような形に積もった場所がある。
「あれだ」
親父はその塊を指さすと、何の躊躇いもなく埃まみれの床に足を突っ込み、ガレージ内へ入ると、まっすぐにそこへ向けて歩きはじめた。
僕も親父の後を追う。
歩みを進めるごとに舞い上がる埃。親父が歩いた後は足跡がくっきりと残っている。
僕は親父の足跡に足を合わせている。
この埃に足を踏み入れるのは嫌だからだ。
「これこれ」
部屋の真ん中、人形に積もった場所へたどり着いた親父は、それが頭の上から被っている埃を素手で払っていく。
「……………」
うわぁ……
正気とは思えないと思いながら、成り行きを黙って見ていることにした。
…………
…………………。
「これは………」
2分後。
ようやく見えてきたそれは、長年誰にも触れられることなく、手入れすらされていないにもかかわらず、少しも傷んだ様子もなく、おそらく作られたままの状態を保ったまま、美しい光沢を放っていた。
「どうだ?」
自慢げにこちらを見てくる親父の顔の嫌なこと、
でも、そんな親父に何も言い返せないくらいに"それ"は凄かった。
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