第21話:化け物のお腹の中に居ると思って良いですよ
割と何処にでも居る魔物であり、数も多いと推測される。
大きさは動物の豚と変わらず色や形もそのままであるが、動物の豚は四足で歩くのに対し、魔物となった
そして名前の由来ともなっているが複数の武術に長けており、様々な戦い方で襲ってくる。
「うぎゃぁぁーーちょっと待ってちょっと待って!」
お腹一杯ご飯を食べたタクトは再び
先ほどの様に入ってすぐに襲われるかと思ったが、二度同じ展開にはならずに安心したのだが、少し進むと直ぐに
「うーん、先ほどよりはマシですけど…」
相変わらず上空で見守っているミニエルが渋い顔を浮かべる。
ちゃんと心構えが出来ていたタクトは、今度は強化が疎かになるなどの失態は無く
だが、格闘技などの経験のない故か、ちゃんと防げは痛みは殆どないが足払いやフェイントなどに容易に引っかかり何度も地面を転がってしまう。
「ブヒーーーー!」
ダウンを取られる度に跳ね起きて致命傷は避けるものの、反撃すれば避けられるだけでなくカウンターまで合わせられる始末。
強化百倍にしたタクト的には必殺のタイミングだった筈の右ストレートもあっけなく避けられ、ボディに強烈な一撃を受ける。
「ぐえぇぇ、余り痛くないけどきっつぅ~」
かれこれ
「タクトさん、集中して。また強化切れそうですよ」
「わ、判ってるけど…うぉ!あぶね!!」
動きのキレが悪くなったのを見た
疲れもあるだろうが、これだけ長い時間戦いながら強化と言う魔法を使い続けた経験はタクトも初の事。
訓練ではあっと言う間に負けてしまい数分持たなかったと言うのもある。
ジッと座りながらや日常生活位の動きなら一日中できたのだが、戦いながらとなると
何とか強化をかけ直したが、足払いを受けまたも地面に転がってしまった。
そして勢いよく飛びあがり踏みつぶそうと
ゴロゴロと転がって何とか避けたタクトは急いで起き上がると荒れた息を整えようと何度も呼吸を繰り返す。
「それだけの強化をしていれば運動神経的な意味ではタクトさんの方が有利ですよ!」
ミニエルはそう言うものの先ほどから圧倒されているタクトにはそう思えなかった。
「いやいや、攻撃当たらないって!」
口を動かしながらも確り
ミニエルからしたら
自身で気が付く必要があると考えているのだろう、それに接近戦闘技術はこれから先必要にもなるので丁度いい機会である事に変わりはない。
「くっぉ~ここだ、えい!おまっ避けんな!当たれ!!」
何度も拳を繰り出し、足を出し何とかしようとするが悉く避けられてしまう。
更に不用意に出した拳に合わせてカウンターの一撃が飛んできてしまい、思いっ切り顔面に直撃するとまたも地面に転がった。
もう既に服も顔も茶色い土に塗れてドロドロである。
「此処までですね、時間切れです」
上空に控えていたミニエルはタクトの様子を見て限界を悟る。
どれだけ強化していようと体力面での限界もある。
人間のカテゴリから見た場合のタクトは魔力が底なしに近いかも知れないが、体は五歳児のままであり体力面はお子様スペックだ。
元々子供に似合った体力しかない以上、ここまで粘れたのも日頃の訓練の成果とも言える。
「はぁ…はぁ…ん?時間切れ?」
距離を詰められそうになったタクトがバックステップで間合いを取った隙に、ミニエルが上空から突っ込んでまるで特撮の光の巨人の登場シーンみたいなポーズで
その一撃で
「あれ?何か可笑しくないか…??」
その場に座り込んだタクトは、予想外のミニエルの強さに呆気にとられる。
ふふん、凄いでしょ?と胸を張るミニエルは晶石を拾うとタクトの元へと戻ってくる。
その晶石を受け取ったタクトはもう一つ疑問が浮かんだ。
騎士たちと戦った時や乗合馬車の時とは違う点が気になったのだ。
「なぁ、死体が無くなっちゃったんだけど。どうなっているんだ?」
消えてしまった
ふわりとその位置まで飛んで行ったミニエルは只の茶色い地面に着陸する。
「ああ、
答えを聞いて新たな疑問が浮かび上がる。
図書館でも
「
簡潔に纏めるミニエルの言葉に少しの不安と恐怖を覚える。
そんな所に居て大丈夫なのかと問うタクトに対して、ミニエルは一番良い環境を頼むなんて言われても無理ですからね、と軽口で答える。
実際死なない限り分解される事はないらしいので大丈夫との事だった。
でなければ冒険者が入りたがる訳無いかと一応は納得する。
直ぐにでも戻れる筈のミニエルはあえて歩いて戻る事を選択し、
案内される道中で体中の擦り傷や泥汚れを確認しながら歩くタクトは、リベンジマッチに向けて
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