第7話

朝起きた時、隣に彼女が寝ていることにびっくりした。そうだ泊めたんだった。


合鍵と「大学に行きます」というメモをおいて、家を出た。これでも僕は医学生なんだ。授業大事。そう思っても昨日の涙が気がかりだ。モヤモヤしながら鶴舞線に乗った。


バイトが終わると直ぐに家に帰った。

「ただいまー?」

疑問形なのは居候に挨拶するのがどこか可笑しくどこか気恥ずかしかったからだと思う。

「おかえり優」

彼女は笑って出迎えてくれた。LINEで11時に「シャワー借りる」ってあったから起きているのは知っていた。にしても寝すぎ。

彼女は言った。

「あのね優!一緒にスーパーいこ!」


近所のスーパーまでは歩いて10分。彼女は重装備だった。コートにマスクに手袋にマフラーに眼鏡。なんか強そうだな、と思ったら

「かかってこい優!」

と言ってファイティングポーズをとった。こいつ実はエスパーだろ。それより

「ガキか!恥ずかしい」

「いーの、誰もいないんだから。閑静な住宅街よ」

僕はため息をついて、やたらテンションの高い彼女の後ろを歩いていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

それでも地球は回っている 107号室の住人 @rena107

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ