第6話

家に帰ってきた。化粧を落とし、眼鏡をかけた状態でテレビを見ている彼女に

「水飲む?」

と声をかけたが、反応がなかった。彼女の顔を覗き込むと、瞼が完全に下がっていた。起こそうと思ったが、彼女の長いまつ毛に水滴がついているのに気づいた僕は、何も言えなかった。


悩んだ僕は、彼女の靴下を脱がし、メガネを外して、出しておいた客用布団の上に彼女を運んだ。小柄といえどこんなに軽いとは。


あとでこっそりとまつ毛の上に乗っていた露を拭っておいたのは彼女には秘密。

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