第5話ランクアップ

里を出てしばらくすると

「なあ、あの檻は狼族でないと開けることができないのか?」


「ええ、『束縛の檻』は他の者には開けられない。」


すると、

「おい、お前たちの共有するスキルで『テレパシー』みたいなのはないのかよ」


「あるわ、でも、それでどうするの?」


にやりと笑うリュウセイ。

「俺にいい考えがある。」


森の中に入りしばらく歩くと狼族が現れた。

「よく来たな、犬族 もう一人余分な奴がいるがまあいいか。」


「子供たちとモモ、ライはどこ?」


「このもう少し奥に俺の部下たちが見張っている。」


「そう、ちゃんとあんたが言うとおり来たわ。人質を解放しなさい。」


「そうだなぁ」

・・・・


「お前たちを殺してから狼にして俺の配下にしてやる!」


「話が違うじゃない!」


「悪いが狼はうそつきな種族なんでね ハハハハハハハ」


「やっぱりね…」


『バーーーーーンッ!』

森の奥の方からとんでもない音がした。


「なんだ⁉」

狼が空を見上げると

人質の5人の子供たちとライがモモにつかまっており、特有スキル『ジャンプ』で空高く上がっている。

「今よっ ライ!」


「了解! 『ブースト』『アクセル』発動!」


ライの身体強化スキルを発動させ、あっという間に里の方へ戻った。


「なぜだ⁉ あの檻は俺たち狼族じゃないと開けれないはず…」


「やっぱりな」

笑うリュウセイ。


「お前たちどうやった?」

状況が全く理解できない狼。


「お前たちはうそつきでバカだな」


数分前…

「ねえ、テレパシーでどうするの?」

「モモとライにつなげるんだよ、そしたらこう伝えろ 人質なら死んだら意味がない。 だから、死んだ真似をしろとね。」


「だけど、そんなことしても簡単にばれるしあっちもそんなことすぐわかるんじゃない?」


「大丈夫だ。俺の世界じゃ狼ってのはうそつきでバカで有名なんだよ」


「そ、そうなの… で、その後どうするの?」


「狼が檻を開けた瞬間にモモのジャンプとライの身体強化とあのアクセルってのを使って里まで逃げるのさ」


「な、なるほど…」


「しかも、狼の大将さんは俺たちのせいで気づかないはずさ。」


レオはテレパシーを使い、モモとライにリュウセイの作戦を伝える。

(…というわけなの あとはよろしくね)


(わかったわ。でも、レオはどうするの? 一人じゃ無理よ)


(今は、助かることだけ考えなさい。子供たちのことは任せたわよ。)


(………わかったわ。)


(里へ戻ったら応援を呼んで僕とモモもすぐ向うから死ぬんじゃないぞ!)


(ええ、…)


現在…

「やったな!」


「ええ」


「お前ら―― どうやったかは知らんが… まあ、いい。あいつらを配下にするのはやめだ。お前たちを殺してからあいつらも里の人間も全員殺してやる!」


「リュウセイ、私の後ろにいて」


「大丈夫か?」

後ろを振り向くレオ。


「大丈夫よ、だって、仲間を助けるためだもの」

振り向いたレオの顔は信頼のできる仲間ができたように思えた。


「こいつらを絶対に逃がすな!」

狼たちが二人を囲もうとした瞬間、


「リュウセイ!」

そう言ってレオは手を差し伸べ、その手をしっかりとつなぐ。

「絶対、離さないでよ。」


「ああ、分かった!」


「『ブースト』『アクセル』発動!」

二人は大きい川の方へブースとの力でとんでもないスピードで逃げた。

しかし、すぐさま狼たちは追いかけてきて、周りを囲んだ。


「無駄だ、お前たちを逃がしはしないぞ」

「共有スキル『プロテクト』発動!」

レオは青い光に包まれまるで剣士のような格好となった。


レオは腰につけてある双剣を持ち

「私の一番の強力なスキルよ! ☆3スキル『ライトニング』発動!」

双剣は黄色く光り、

「うおおおりゃあああぁぁぁ―――!」

思いっきり川の中に突き刺した。


川の中にいた狼たちは電撃によってすべて感電し、倒れた。

衝撃の光景目の当たりにしたリュウセイ。

「な、なんで、俺たちは何ともないの?」


「プロテクトというスキルは防御スキルなの。それにまとった私と手をつないでいるからあんたにもそのスキルが適用したから何ともないのよ。」


だがしかし、一匹だけ倒れていなかった。

「やっぱり狼の大将は何ともないわね。」


「お、お前たち… 絶対に殺してやる!」


「いいえ、死ぬのはあなたよ! 見せてあげる犬族の特有の能力ってやつを!」

先程とは比べ物にならないくらいの青い光が輝く。そして、レオの身体全体に青い光がまとっていく。

しかし、なぜかだんだんと光が大きがったのが小さくなっている気がするような。

気のせいかと思ったが輝いていた青い光はどんどん小さくなっていき、最終的には青い光は消えてしまった。

「あれ?やばい……」

さっきまで自信満々だったレオの顔は確実に余裕から焦りに変わり、自信が喪失した顔に変ってしまった。


「聞きたくはないのだが…おい…お前さんの特有スキルはどうした?」


「ご、ごめん。こんな時に申し訳にくいんですがスキルポイントがゼロになってしまって発動させることができません……」


「な、なんだと⁈」

やばい、本当にこの狼に殺されてしまうと思ったリュウセイはパニックになりかけていた。


「スキルポイントをゼロにするとは犬族も馬鹿だな。おい、どうした?さっきの自信は?」

どんどん迫ってくる狼。


「私が足止めをするから、リュウセイは逃げて!」


「そんなことできるわけないだろ!俺たちはもう仲間だろ! 仲間を置いていくことなんかできるわけないだろ!」


「ありがとう、仲間って言ってくれて。そうね、私たちはもう仲間よ。だから、私は仲間を守るの!早く行って!」


「くそ…どうすれば……」


すると、


――テレレレッレッテッテー!おめでとうございます!ミッションを達成いたしました!それによりランクが1から2となりました!――


(⁈ ミカドか! 今ランクが上がっても意味ないだろ!なにか今の状況を変える方法はないのか?)


――ありますよ!今、リュウセイ様がランク2になったことでリュウセイ様の特有スキルが解放されました!――


(ま、まじで?それはどういうスキルだ?)


――えーっと今リュウセイさまの視界の右端の下にアイコンを表示いたしました。わかりますか?――


(ああ、表示された。それでどうする?)


――そこに意識をアイコンに集中するように見てください。すると、ステータスが表示されるように私が設定いたしました!ちなみに細かく表示するとリュウセイさんはこんな状況ですので、パニック状態になると思いましたのでステータスはわかりやすくしときました!――


(ああ、わかった。)

ミカドの言った通りにすると視界に俺のステータスが表示された。


【名前】神門リュウセイ 【ランク】:2

【職業】:なし 

【特有スキル】:亜人武器変成術(あじんぶきへんせいじゅつ) 消費:50


【スキルポイント】:1


(おい、ミカド……)


――なんですか?リュウセイ様!――


「亜人武器変成術(あじんぶきへんせいじゅつ)って何だ!!!!」

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亜人武器変成術師と犬耳少女 @makobara

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