第4話ライカンスロープ(狼族)

「探す手間が省けたな、」

すると、突然顔を上に向け

「ワァオオオオオォォォ~~~―――ン!」

里に狼の声が鳴り響いた。


里のあちこちにいた狼族が一斉に門の前に集まった!

「お、おいやばいんじゃないか?……めっちゃ、狼いるぞ…」


「わかっているわ。ねえ、あんたたち、目的はなんなの?」


「目的か? ワードックの抹殺に決まってるだろ」


「やっぱりね、一族の敵、そして、両親の敵を取らせてもらうわ。」


「まあ、落ち着け」

そういった狼は後ろを向いた。


後ろには檻に五人前後の村の子供たちが入っていた。

「あんた、なんてことを! あなたの狙いは私たちでしょ!」


微笑む狼。

「まあ、落ち着け。この子供たちを助けてほしければあの森に来い。今日中にな! 来なければこいつらをおもしろいことに使ってやるよ。」


「卑怯ものめ!」

あざ笑うかのような顔をした狼は森の方に向かおうとした。


「待ちなさいよ!」

モモの体が青く光り、共有スキル『アクセル』発動。スピード強化。

とんでもない速さで狼の腹に一発加えた。


次はモモの足が青く光り始めた。 特有スキル『ジャンピング』発動。ジャンプ強化。

脚力で檻まで飛び


共有スキル『ブースト』発動。パンチ力の強化。

拳に青い光が集中し、檻をぶち壊そうした。

「やった!」

しかし、檻は壊れることもなく傷一つも見られなかった。

「な、なんで⁉ こんなこと…」


「残念だったのぉ」

モモは狼をみると

片手で首をつかまれ気を失っているライ…

「ライ! お前、よくも」

狼はあざ笑い、


「お前、速いなぁ だがな… 俺はもっと早いぞ」


「な、何言ってるの?…」


「ふっ、『トライアル』!」

モモと比べ物にならない速さで彼女の首を絞めた

「『アクセル』よりも上の上級スキル…… ち、ちくしょう…」


涙目になったモモもそのまま、気を失った。

狼は気を失った二人を檻の中に入れた。


「おい、犬族、こいつらも人質だ。 今日の夜まで待っててやる、必ず来い。」

そう言った狼はまた、顔を上に向けて


「ワァオオ、ワオオオォォォ~~~―――ン!」

共にいた狼たちも森に帰っていった。


「おい! 二人を返しやがれ!」

追いかけようとするリュウセイ。


「やめなさい……」


止めようとするレオ。


「バカ野郎! なんで、止めんだよ!」

言っても聞かないリュウセイを思いっきり殴って吹っ飛ばした。

「痛ってぇ…… 何すんだよ!」

「バカはあんたよ! 今、あんたがいってどうにかなるの? スキルも使えないあんたが!」

怒鳴りつけたレオ。


「しかも、あの檻は『束縛の檻』よ… あれは狼族でないと開けれない…」


「じゃ、じゃあどうするんだよ…」

しばらく地面を見つめるリュウセイ。


「大丈夫よ。 私が行って来ればいい話だから。」

落ち着いた表情で答えた。



逃げ待っていた村の人々は二人を囲むように集まってきた。

「おい、犬族! お前のせいだぞ! この村にいるせいでみんなが迷惑しているんだぞ!」


「そうよ! 私の子供まで連れ去られたわ! どうしてくれるの! はやく狼族が言ったようにあなたが行ってきなさよ!」

レオは何も言い返さない…。





その頃… 森の中では…

「おい! 僕たちをどうするつもりだ!」

必死に大きな声で叫ぶライ。

「うるせえなぁ! どうするって? しょうがねえなぁ。」

にやりと笑う狼。

「おいっ! あいつを連れてこい。」


連れてこられたのはまさか、門番の人だった。

「話が違うじゃないか! 門を開ける代わりに俺を助けてくれると言ったじゃないか!」


「そういえば言ったなぁ、すまん。」

頭を下げる狼

助かったと思った門番。


頭をあげた狼は顔はすまないどころか笑っていた。


「悪いが、狼はうそつきなんだ! 『トライアル』!」


「⁉」

とんでもない速さで門番の後ろに回り、門番の腕をかみついた。


「うわああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――!」

門番は叫び続ける


すると、門番の体がだんだんと狼の姿へと変わっていく。

「ワァオオオオオォォォ~~~―――ン!」


門番は完全な狼となった。

「見たか? これがおれの特有のスキル『増殖』だ。 かみついた相手を同じ狼の姿にし俺の配下とする。しかも、理性はなくおれのいうことなら何でも聞くぞ。 ハハハハハハハハーー。」


驚くことしかできないライとモモ。

「じゃ、じゃあ… ここにいる狼たちは…」


「そうだ、ここにいる狼たちは元々はあの里の住人達さ。俺が狼に変えてやったんだよ。」


「ま、まさか姿を消した住人は殺されてたわけじゃなくて狼にされていたのか…」


あまりの衝撃に言葉が出なくなってきた…。

「まあ、まあそんな落ち込むことはないさ。あの女が来ればお前らは狼にならずに済む話だぁ ハハハハハハハハハ!」


(もし、○○が来たとしても僕たちおろかこの子供たちも狼にされてしまう… どうすればいい……)




その頃… 里では…

「早く、行って来い!」


「そうだ、そうだ、狼族と犬族の因縁に俺たちをまきこむな!」

村の住人たちの罵声はやむことがない。

言い返さないレオ…


……。


「うるせェ!!!!」

村全体に響く大きな声を出したリュウセイ。

「な、なんだよお前…」


急に大声に驚く村人。

「どいつもこいつもひとりだと面と向かって言えないくせに大勢だったら強気になって言いやがる… お前えら、卑怯者に腹が立つんだよ!!!!」


「この村のことも知らないよそ者が知ったような口をきくな!」


「そ、そうよ! 部外者は首を突っ込まないでよ!」

村人たちが言い返す。


「同じ獣族なのに自分たちのマイナスことがあれば突き放し、自分にプラスだったら、得をしようとするお前ら…」

村人たちは言い返さずにいる

「俺たちはただ… この里を守ろうとしているだけで…」


「だったら、お前ら、偽善者だな、いや上辺だけの『クズ人間』だな…」

そう言った蒼青は

「なあ、レオ。 お前は今から死ににいくのか? 仲間を助けに行くのか?」

言葉に詰まるレオ。


「確かにこの世の中にはクズな人間ばかりいる 仲間といってただ利用する人間、助けてほしいときだけ人にすがり相手が困っていても助けようとしない人間、自分が言ったことに責任を持てずにいる人間… そんな人間は山ほどいる…」


唇をかみしめるレオ。

「だけどな… お前が今、死ににいくために行けば、こいつらクズな人間の言うとおりにしてるということだぞ。」

すると、目に涙をためたレオが


「わ、わたしだって… 死にたくないわよ!! で、でも・・・」


「お前には少なくとも心配してくれる仲間がいるじゃねえか お前の気持ちが分かるなんて言っても、お前と全く同じ体験しているわけじゃねえしそんなこと絶対言わない。 仲間を信じろ、人を信じろなんて大それたことは言わねェ!!」

そっと、手を差し伸べるリュウセイ。


「人を信用するにはなかなか時間がかかる、だけどな少なくとも… ただ、俺はお前にはこんなクズな人間たちと一緒にはなってほしくねェ!!」

満面の笑顔で見つめるリュウセイ。


「まぁ、俺もそんなまっとうに生きてないけどな! ハハハハハ」


「生意気ね」

そう言ってリュウセイの手につかまり立ちあがる。


「わかったわ、私は死ににいくんじゃない! 助けに行くのよ!」


「そうでなきゃ! もう時間はないぞ」


「そうね、じゃあ、行ってくるわ」

そう言って一人で行こうとしたに


「俺も行く!」


「はあ? 何言ってんのよ あんた、スキル使えないじゃないの!」


「ちょっとは役に立つだろ、ダメと言われても行くぞ」

意志が固いリュウセイに対し、


「しょうがないわね、足手まといにはならないでよね」

笑みを浮かびながら、森に向かっていく。

「お前も生意気だろうが」


レオの後も追う前に村人に向かってリュウセイは

「お前ら、あいつをまた、非難するようなことをしたら次は俺がお前ら全員必ずぶっ殺す…」


そう言ってレオの後を追って走っていくリュウセイだった。



村人は蒼青の迫力に対し、しばらく立ちすくんだままだった。



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