第3話獣族の村

二人は森を出て獣族の里に向かっていた。


「俺の住んでだところも、田舎だけど、ここはいかにも田舎だな」


「田舎で悪かったわね。」

すると、里の門番らしき人物が目の前にやってきた。


「おい、レオ。 その人間は誰だ?」

「森の中で倒れていたのを助けたのよ、問題ないわ。」


「また、お前はあの森に行っていたのか? 一人では行くなといっただろ、勝手な行動は許さんぞ!」


「私が何をどうしようが勝手でしょ! 今までも、そうだったんだから!」

レオは言い放った。


何も言い返すことができない門番は

「まあ…… 今度からは気を付けろよ…」

そう言って門の前に戻っていった。


「おい、何かあったのか?… スゲー怒ってるけど…」


レオはむすっとした顔してリュウセイをにらみつけた。

「あんたには、関係ないでしょ! 余計な詮索しないでよね!」


「すぐキれるよな、お前。短気だな 友達いないだろお前」


「はぁ、なんか言った?」

鬼のような顔をしたレオにビビる。

「何も言ってません…」

その後は無言が続いた。


……しばらく歩くとレオの家にたどり着いた。

「普通の家だな」


「家の前に突っ立ってないで、はやく入りなさいよ。」

「じゃ、じゃあ、おじゃまします…」

中に入るとしっかりと整頓されている女子だなという家だった。


「意外と女らしい家だな」


「そりゃあ、女だもの」


「ですよね…」


「お前ひとりで、暮らしてんのか?」

なぜかレオはさびしそうな顔をした

「そうよ…」

「両親はいないのか?」

「ええ… いたわ 二年前に殺されたわ。」

驚きの言葉に驚きを隠せない。


「殺された⁉」


「ライカンスロープ(狼族)に殺されたわ。」

そう言ったレオは手に持っている包丁を野菜に突き刺した。

「狼族? なんだそれ?」


「私たちと一緒で獣族であり、その中の狼族よ。」


「同じ獣族なら、仲間じゃねえのか?」


「いいえ、獣族の中でも狼族は希少で同じ獣を毛嫌いしているのよ、特にワードック(犬族)とは特に仲が悪かったと聞いているわ。」


「だから、この村には狼族いないのよ。でも……」 

レオは言葉に詰まった。

……


少ししてから口を開いた。

「でも、二年前にこの村は襲われた。私は、近くの森で薬草を取って帰ったときにはもう村の半分の人間は殺されたわ。特に犬族の者は私の家族含めて半分以上死んだわ。」


「じゃあ、さっきの門番は?」


「そうよ、狼族の一件で厳重に警備されているわ。入ったものが狼族だと困るからね。」


「さっき、あの門番、あの森に一人で入るなって言ってたけど、なんでだ?」


「最近、あの森に入った獣族が次々と消息を絶っている。生き延びて帰ってきたものによると狼の姿をしていたそうよだから、この手で狼族を殺すために探しているのよ。」


「敵ってわけか、でも門番が言ったように一人だと危ないだろ」

また、言葉に詰まる…。 


「うるさいわね、足手まといがばっかりだから、一人の方が楽だからよ。」


「そうか…」

家の中は不穏な空気が漂う。

……

すると、パチンッ!

レオは思いっきり、手を叩いた。

「はい! この話はこれで終わり! あんたには関係ないもの そんな顔しないでよね。」

笑顔で答える。

「お昼ごはんできたわよ。 召し上がれ。」


「マジで、おいしそうだな! マジでありがと! お前いいやつだな!」

リュウセイは少年らしい満面の笑顔だった。

「お礼なんていいわ 早く食べなさいよ!」

顔を真っ赤にするレオ。

(なんで⁉ 俺、なんかおかしいこと言ったかな?)

不思議に思うリュウセイだった。




「ごちそうさまでした! 食った、食ったぁ-」

「どうだった? おいしかったでしょ?」


「悔しいけど、めっちゃおいしかったよ」


「そうでしょ、そうでしょ!」

えっへん!自慢げに笑みを浮かべる○○


ドン、ドン、

誰かドアを叩く音がする。

「誰―?」

外まで聞こえるように大きな声で聞いた。


「ボクだよ、ボク」

「ちょっと! 私もいるもん!」

男と女の声が聞こえる…。


「ごめん、私の知り合いよ、入れてもいい?」

リュウセイはうなずく。

「入っていいわよ。」


家の中に入ってきた二人もまた、同い年ぐらいだった。

一人はみるからも、好青年、もう一人は美少女だった。しかし、やはり頭から耳が生えていた。


二人はリュウセイの顔を見つめた。

「あ、ごめん お客さんだった?」


「いいのよ、さっきあの森の中にいて助けてあげたのよ。」

すると、好青年は


「あの森だって⁉ 大丈夫でしたか?」


「うん、大丈夫だったよ。」

(本当に外見も好青年なら中身も好青年だな……)

「おい、レオ、この二人も獣族か?」

「そうよ、男の子の方はライといって、私と同じワードッグ(犬族)よ。」

「どうも、はじめまして、ライといいます。」

(ほんとに好青年だな… おれの世界でいう優等生だな…)


「彼女はモモといってワーラビット(兎族)よ。」


「よろしくね!」

モモは蒼青に向けてウインクをした。

(か、かわいいな、ワーラビット……)


「どうも! よろしく!」


「私とは全然態度が違うわね」

不満げな顔でリュウセイをガン見するレオ。


「そ、そんなことない…」

顔をそらすリュウセイ。


「なぜ、顔を反らす?」


「まあ、まあ そこらへんにしてあげなよ かわいそうなだよー。」

やさしく声をかけるモモ。

そう言って二人はテーブルの椅子に座った。

「君の名前は?」


「リュウセイだ。」


「へぇリュウセイくんかー。ねえ、リュウセイ君は何族なの? どこからきたの?」

興味津々に顔を近づけるモモ。

(顔近っ⁉)

「ねえねえ、聞いてる?」


リュウセイの服をつかんで揺らす☆

「モモ、困ってるじゃないか すみませんリュウセイ君 モモは知りたがり屋なのですよ。」


「俺はただの人間なんだよ」


「人間なんだ。じゃあ、どこから来たの?」

(どこからかいうと結構ややこしくなるな。)


「そ、それは…… 」

「そういえばさっきあんた、独り言で他の世界から来―」


「おい!」

リュウセイはレオの顔をみて、めんどくさくなるから言うんじゃないという顔で睨みつけた。

「ど、どうしたの?リュウセイ君、レオ。」


「な、なんでもないのよ… ね、リュウセイ!」

「うん⁉ う、うん なんでもないよ ほんと、なんでもない。」


「ま、まあ、なんでもないんならいいけど…」

必死に話を変えなきゃと思うリュウセイ


「そういえば、何か用があったから二人は来たんじゃないの?」


「そうだったね、忘れてたよ。」

そう言ったライは先程の笑顔から打って変わって真面目な顔になった。


「レオ、また、一人であの森にいったらしいじゃないか 門番の人に聞いたよ。どうして一人で行くんだ? 危ないじゃないか!」

突然の大きな声に驚く。

「いいのよ、私は一人で敵を取りたいのよ!」


強く言い返すレオ。




……

すると、何か家の外が騒がしい。

すぐさま、四人は家の外に出た。

辺りは、家は燃え、人は倒れ、逃げとんでもない光景を見ているリュウセイ。

「お、おい…いったいこれはなんだよ!」

「た、たぶん… 狼族の仕業だわ。」


「で、でも、レオ、この里に侵入なんてどうやったの? 門番もいるし簡単には入れないし一体、どうやって…」


「レオ、モモ! 今はそんなこと考えてる場合じゃない!」


「そうね…」

そう言ったレオは逃げている人をつかまえ、


「ねえ、狼族の仕業なの?」


「レオ…  そうだ、そうだよ! 門の方で暴れてる!  お前たち犬族と狼族の因縁のせいで俺たちは巻き込まれているんだぞ!」

村の人はそう言い放ち、逃げていった。


「大、大丈夫? レオ。」

心配そうに見つめるモモ。


「大丈夫よ。今に始まって事じゃないし慣れているわ。」


レオは一人で門の方へ向かって走っていった。

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

ライとモモもレオの後を追って走っていった。


(仕方ねえな… おれも行くか)

リュウセイもついていった。


門の前には多くの人が倒れていた。

門には多くの狼人間のようなものが村を襲っている。

「ほ、ほんとうに狼だな、あいつらも何かスキルをつかうのか?」


「ええ、そうよ。 『共有の能力』、『変身』よ。」


「変身?」

「普段は人間の姿に自分を憑依させることができるスキルよ。」

多くの中に一人だけ大きな狼がこちらに近づいてきた。

「おい!お前ら!二人が犬族の生き残りか?」


「そうよ、」


「探す手間が省けたな、」

すると、突然顔を上に向け


「ワァオオオオオォォォ~~~―――ン!」


里に狼の声が鳴り響いた。


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