第42話
「は?ルシエル君のところに通ってた⁈」
「ごめん…セレナとプランツはルシエル君のことが好きじゃないみたいだからさ、仲良くなった事を知ったら怒ると思って…」
セレナの部屋にて。
僕が頭を垂れると、「お馬鹿!」と言ってセレナが腕を組んだ。
「むしろ隠される方が傷つくわよ。その、恋人なんだし…私には言って欲しいわ」
△セレナ が 真っ赤な顔 で “上目遣い ”!
△効果 は 抜群 だ!
▲ラルシュ は 100 の ダメージ を 受けた !
「ラルシュには人を見る目があるし、それだけ言うならきっとルシエル君も…」
「あのさ、セレナ」
話している途中で話しかけられて、セレナが不機嫌そうにこちらを見た。
「何よ?」
「…誘ってる?」
セレナは熱心に話していたゆえ、本人も無意識のうちに距離を詰めていたらしい。
僕の胸あたりで頬を染めて上目遣いされたら、男なら普通そう受け取るんじゃないだろうか。
「真昼間から馬鹿じゃないの⁈」
「夜ならいいの?僕は宿に帰るからいないけど」
「っ、そ、その…」
「ハイそこまでー」
バーンッ、と無遠慮にドアが開いた。ベッドの淵まで距離を詰めていた僕らが慌てて離れる。
「ル・ルー…空気読んでくれない?」
「ヒデェ!レイアが邪魔した時は何も言わなかったじゃん!」
鍛え上げられた身体に、冒険者らしい出で立ちにSランク冒険者を表すマントを羽織ったル・ルーが立っていた。
「セレナ様も先生も、盛るなら夜にして。プランツが呼んでるから、2人とも、ついてきてくれ」
ずんずん歩き出したル・ルーについていく。セレナは火照った顔にパタパタと扇子を仰いでいた。
「あー、俺も彼女欲しい…魔王倒したのに全然恋人できねーんだけど、何でだ⁈」
「中身がサルだからじゃない?」
「酷くねえ⁈」
ダメダメ、いい雰囲気だったのにル・ルーに邪魔されてイラついてしまった。
「ル・ルーもプランツも恋人はいないの?」
「あー、プランツは
「いるんだ⁈」
誰だろう?と首をかしげると、何だかんだ言ってプランツと仲のいいセレナが教えてくれた。
「北の大陸で最大の先進国、セルゲイ皇国ミハイロ王朝の第二王女、ヴェロニカ様よ。
北欧人らしい白い肌にヘーゼルの瞳の、とんでもない美人さんね」
「北欧人には美人が多いっていうけどよ、特にプランツの女房さんはすんげえ美人だぜ」
へえ、そんなに美人なのかあ。ぜひ見てみたいなあ。
「ラルシュも若くて綺麗な王女様の方がいいの?」
拗ねたように扇子を閉じるセレナ。あちゃあ、機嫌直しとかないと。
「美人はレイアとセレナとリリーシカで慣れてるから」
「…そこはセレナ様だけでいんじゃね?先生」
「おそるべき天然人誑し…!」
あれ?思ったようなリアクションと違った。
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