第35話
「おい、俺の先生をなに誑かしてんだよ!このクソババア!」
「誰がクソババアですって?私たちは元々恋人同士よ!アンタこそラルシュに媚び売ってたんじゃないの?」
「黙れ年増の若作りババア!だいたい痛々しいんだよ!」
「何ですって⁈私が国民になんて呼ばれてるかご存知なの、お猿さん?」
「女神(笑)だろ、頭大丈夫でちゅか〜?」
「やんのかコラ⁈」
「上等だオラ!」
「やめなさい!」
小学生みたいな喧嘩を始めた2人に拳骨を落とす。
ガルシア王家には精神年齢が成長しない遺伝子でもあるんだろうか?
「2人とも喧嘩しない!仮にも王族でしょ!ところでプランツ、何しに来たの?」
「…式の準備ができたから呼びに来たのに、部屋でババアと先生が抱き合ってたんだぞ⁈そりゃキレるだろ!」
「誰がババアですって?会う人会う人に20代にしか見えないって言われますけど〜?」
「あ?鏡よく見ろよ!それともアレか?老眼?」
「やめなさい!」
再び喧嘩を始めた2人に鉄拳を落とす。セレナは若いし、顔も似ているし、姉弟喧嘩にしか見えない。
「大丈夫、プランツのその態度は嬉しさの裏返しだ。プランツは、本当に先生の恋人として認めなかったら黙って排除してるからな」
「リリーシカ!」
王立騎士団の軍服に身を包んだリリーシカが顔を出す。
凛々しく麗しいと国民の間で話題なのも納得の綺麗さだ。
「綺麗だよ、リリーシカ!」
「ありがとう」
僕とリリーシカがほのぼのした会話をしていると、セレナ姉弟が天を仰いで固まっていた。
「尊い…」
「それな」
本当に姉弟なんじゃないんだろうか、この2人。
「っていうより、ラルシュともっと早く会いたかったわよ!もっと早く言ってよね!」
「ババアに言ったら絶対会いに行くだろうが!」
「当たり前でしょ!」
再びギャーギャー言い始めた2人にリリーシカを見ると、無言で首を横に振る。
「姉弟漫才だと思ってくれ、先生」
遠くを見るリリーシカに合掌する。苦労してんだな…
「女神に名君主と名高い2人とはとても思えませんね。まるで小学生だ」
「
笑顔でドス黒い発言をしながら顔を出したのは俊杰だ。お口が悪い。
「ル・ルーが先生に会いたいって聞かないので連れてきたんです」
「先生!」
「ごふっ」
身体に衝撃が走る。僕よりも5センチほど高いル・ルーの身体は引き締まっていて重いのだ。
首に抱きつくル・ルーをなんとか引き剥がす。そうか、教え子たちの中でル・ルーだけ会ってないもんな。
「久しぶり!俺、先生に認められたくて魔王を倒したんだ!」
キラキラした笑顔で親指を立てるル・ルーに凄い凄い、と頭を撫でる。
「魔王は太古の昔から人類を脅かしていたラスボスだったのに、コイツ、先生の為にって言ってサクッと倒したんだぜ?」
ため息を吐くプランツに、ル・ルーがテヘッと舌を出した。
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※これは本編とは関係ありません
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