第34話
「あら、セレナ様と先生はそういう関係だったのね!失礼したわ。プランツに教えてくる!」
「…え?」
顔を赤らめるでもなく、笑顔でそう言い放ったレイアが部屋を出て行く。
…嘘でしょ?あんな悪戯っ子だっけ?純粋で可愛いレイアのイメージがどんどん崩れていくんだけど⁈
「ちょっと待っ…」
「あら、さっきの続きは?」
セレナに再び笑顔を向けられて固まる。一拍置いて恥ずかしさがこみ上げてきた。
「勘弁して…」
「…どういうこと?隠してただけで恋人がいるの?」
「いないよ!」
「分かった、
「話を聞いて⁈」
桜綾というのは、学術学院時代に僕と仲良くしてくれた女友達の1人だ。
長い黒髪に切れ長の目をしたセクシーな美人さんで、僕も何度ちょっかいをかけられたか分からない。
人の恋人を盗るのが趣味というのだけが欠点だけど。
レーナちゃんの時に連絡を取ろうかと思った東洋人の友人というのは桜綾のことだ。
性別は女だけど、人の恋人にしか興味がないので、自然消滅した(と思ってた)僕は安心して連絡をとることが出来たのだ。
「桜綾とは何もないから、本当に!」
「そう?それならいいけど」
じろりと僕を一瞥した後、いいことを思いついたと手を叩くセレナ。
「そういえば今日の宿は決まっているの?」
「2週間くらい王都でゆっくりしようかと思って、式が終わったら取るつもりだったけど」
「ダメよそんなの!」
声をあげるセレナ。
「いいわ、王城に泊まりましょ!」
「断るよ。そのお金も全部、国民の税金でしょ。僕なんかに使わせるわけにはいかないよ」
そう答えるとセレナがふふ、と吹き出す。
「そう…ラルシュは変わんないわね、そういうトコ」
「…?ありがとう」
「なら、明日の日中に王城に来てくれないかしら。成人式の後片付けで明日は1日オフなのよ。久しぶりにデートしない?」
悪戯っぽく微笑むセレナ。ドキドキしながら頷く。どうせ予定もないしね。
「やった!待ってるわね!」
そう言ってセレナが僕に抱きついた瞬間、バン、とドアが開いた。
「先生と叔母様、これはどういう事ですか?」
プランツがにっこり笑ってそこに立っていた。
…僕の教え子たち、来るタイミング悪すぎない?
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