第27話
「先生!」
「ごふっ」
リリーシカに抱きつかれて、僕の身体が揺れる。
筋肉でしっかりと引き締まったリリーシカの体重を支えられるほど、僕は強くないのだ。
もやし体型なんだよなあ、僕…
自分で思ったことに自分でダメージを受けながら、なんとか踏みとどまる。
「よっ、リリーシカ!」
「プランツ…また外泊か?執事さんが胃薬をがぶ飲みしていたぞ」
「いやだって、先生が泊まっていいっていうから…」
「ならしょうがないな」
しょうがないの…か?
とりあえずリリーシカも疲れているみたいだったのでリビングへ案内する。
「へえ、綺麗な建物だな。どこかのお金持ちの別荘のようだ」
「
「いや、俊杰に家を贈ってもらうように俺らが頼んだんだ」
「…え?」
どういうこと?
「俺らで先生が安全な生活を送れるように“調整”したんだ」
「私とル・ルー、レイアは近隣の魔物の討伐。俊杰とプランツは魔道具と家の購入を担当したんだ」
驚愕の事実だった。あのやたら高価な魔道具たちも大きな家もプランツと俊杰が?
「プランツ…一応聞くけど、家と魔道具を買うお金はどこから出たもの?」
「王家だけど?」
「おバカ!ちょっとそこに座りなさい!」
王家のお金ってことは、国民からの税金っていうことだ。
税金は人々の生活の向上に役立てるもので、僕のような人間に高価なものを買うために使っていいお金じゃない。
そのことを丁寧に説明して、説教する。段々プランツが可哀想なくらい落ち込んできた。
「ごめんなさい…」
「先生、大丈夫だ。そのお金なら、私が予算から引き出された分、プランツの貯金から戻しておいた」
おお、さすがリリーシカ!
「おいリリーシカ、俺の口座から大量に金が引き出されてた原因はお前かよ!」
「当たり前だ!先生が税金を自分のために使われて、喜ぶわけないだろう、バカが!」
「だってあの予算、貴族たちのダンスパーティーに使われるはずだった金だぞ?
政治のために必要だったパーティーならまだしも、クソ豚たちの誕生日パーティーとやらに予算を使うくらいなら先生のために使った方がエコだ!」
喧嘩を始めたプランツとリリーシカに、僕はガツンと拳骨を落とす。
「2人とも、喧嘩しない!どうするべきだったか話し合いをすればいい話でしょ。だいたい2人は…」
懐かしの僕からの拳骨に、2人は頭を抑えて説教をおとなしく聞き始めた。
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