第17話

「先生、久しぶりです!」

俊杰チンチエ…久しぶりだね」


 レーナちゃんが来なくなってから1週間。スージーも冷たいし僕も落ち込んでいた。

 何だかんだスージーはレーナちゃんの事が気に入っていたらしい。


 ギスギスした雰囲気の中、俊杰はひょっこりとドアをノックして現れた。


「来るの早くない?」

「時差ですね。東洋では今、昼前なんですよ」


 朝方に現れた俊杰に目をこすりながら言うとへへ、と笑みをこぼす俊杰。


 なんて言うか、すごく綺麗な男の子に育った。中性的な美少年だ。

 華奢で細かい刺繍の入ったチャイナドレスがよく似合っている。


「先生も着物、似合ってますよ」

「ありがとう。着やすくて重宝してるんだ」


 寝ている時も俊杰から貰った浴衣に褞袍どてらを羽織って寝ている僕。


「一緒に朝ごはん食べましょうよ。あれ、なんか元気無くないですか?」

「うーん…まぁ色々あってね。そういえばミーちゃんは?」


 俊杰から手紙で聞いていた九尾狐のミーちゃんが見当たらない。


「あー、なんか散歩してから来るとか言ってましたよ」

「そうなの?楽しみだなあ」


 久しぶりに会う教え子に顔が綻ぶ。それにしても…


「俊杰、出世したね。お金持ちじゃない」

「そうですか?」


 俊杰は上流社会の住人になっていた。服や仕草、髪飾りからとんでもなくお金持ち臭がプンプンするのだ。


「16になったんだっけ?」

「もうすぐ17です。なんとか商売が軌道に乗りまして、今は商会のオーナーで」

「うわあ、凄いじゃない」


 僕は商人のことは全然詳しくないから分からないけど、オーナーって結構凄いんじゃないかな?


 と、その時チリンチリンと鈴の音がした。俊杰の腰までのロングヘアを結ぶ髪飾りについていた鈴だ。


「あ、ミーがこっち来るみたいです」

「その鈴どうなってるの?」

「ミーの魔力を感知して近くに来たり、位置情報を確認できたりする鈴なんです。

 連絡の種類によって鈴の音も変わるんですけどね。

 魔道具専門店にオーダーメイドで作らせました」


 魔道具専門店にオーダーメイド…すごいなぁ、お金持ちになったんだもんなぁ。


「あ、ミー!」

「クーン」


 後ろにフワフワしたものを感じたと思ったら、ものすごく大きい狐がいた。


 身長は170くらいの俊杰より少し高い。白銀色に金色の瞳をしていて、毛並みはフサフサ。

 尻尾は9つに分かれていて、俊杰にグルグルと嬉しそうに額を擦り付けている。


「もう、ミー。くすぐったい」

「ク〜ン…」


 そして僕も微笑ましくその光景を眺めていて…ギョッとした。


 なぜか、そのミーちゃんの背中の上にレーナちゃんが乗っていたからだ。

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