第15話
東洋の学問といっても色々ある。
学院時代に東洋人の友人がいたことや、俊杰を拾ったことで僕も東洋系の学問を勉強していた時期があるのだ。
漢文や漢詩などの語学、儒教などの宗教学、
特に僕が面白いと思ったのは民俗学だ。西の大陸にはエルフや妖精、ユニコーンがいるのだけど…
「へえ…妖怪に龍に
「西の大陸では見たこともない魔物でしょ。東の大陸では逆にエルフやユニコーンを見たことがないんだって」
「ユニコーンは確かにレアですけどね。森の奥深くにしかいませんし…」
書斎から東洋の巻物を取り出すと、レーナちゃんも興味が湧いたように巻物を覗き込む。
巻物には
「
“先生!すごいんだ、尻尾が9つある狐が歩いてて、すげーモフモフなの!”って書いてあってね、微笑ましいでしょ。
それで飼うことにしたらしいよ。名前はミーだって」
「尻尾が9つある狐を飼うことにした⁈」
スージーが驚いたように声を上げる。どうしたんだろ?
「マ、マスター…俊杰様は何者ですか?」
「何者って?僕の可愛い教え子だよ〜」
「尻尾が9つある狐というのは
西の大陸でいう、ドラゴンにあたる魔力をもった神獣ですよ!」
「まさか〜、俊杰は普通の男の子だよ?あ、でも商才はあったからすごい商人にはなるかもだけど…」
スージーったら、何を言ってるんだろ?
「そういえば、この前手紙で俊杰に、ミーを連れて遊びに来たいって言われたんだけど…」
「…私、殺されます。九尾が怒ったら大陸がひとつ滅びると言われているんですよ?無理です怖いです!」
ガクブルと震えるスージー。僕とレーナちゃんはキョトンとして顔を合わせた。
「大丈夫、俊杰はいい子だから!」
「そういう問題じゃないんですけどオオオ⁈」
ついに冷静敬語キャラの仮面をかなぐり捨てたスージーをまあまあ、と宥める。
それから僕の教え子がいかにいい子だったか説明し始めたんだけど…
「…は?拾った男の子の1人が希代の英傑と名高い王太子のプランツ殿下?」
「レイアって…私でも聞いたことがありますよ、法王の最有力候補の聖女様ですよね?」
「戦乙女のリリーシカ様⁈あの国中の憧れの王立騎士団のアイドル⁈」
などなど、ああ言えばこう驚き、スージーは恐ろしいものを見るような目で見てきた。
「マスターの住んでる近辺にだけは魔物が出ないのはおかしいと思っていたんですが…なるほど、教え子のメンツを見れば納得です。
多分誰かが討伐していてくださったんですよ」
「そうなの?」
へー、知らなかったなあ、お礼を言っとかないと。
そう言ったら、またスージーにため息吐かれました。なんで?
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