ほろ酔い

東 駿

【ソーダ水】



毎日美味しくハイボールを

飲みながら私自身を

ゆるく書いていこうと思う。





私は幼い時から空想、妄想の世界に浸りがちだった。

いつか直ると思っていた私の空想癖は大人になっても直らず、むしろパワーアップしていると思われる。

なので幾つになっても幼稚で、トンチンカンな事をやらかしてしまう日々である。。

(トンチンカンは空想に関係無いかな)



空想は便利でいつ何処に居ても

すぐ浸れるし、現実とは違うから

何でもあり!であった。



小学校1年生の時。

国語の授業で「ソーダ水」という単語が出てくる、お話を習った時のこと。

何故か「ソーダ水」という言葉に魅力を感じてしまって、何故か高級感も感じてしまった当時の私。


今で思う「ソーダ水」は無色透明で

パにパチ弾けるいわゆるサイダーなのだが

当時の私が想像する「ソーダ水」は

全てが最高品質だった。



青い夏の空をそのまま切りとり

全てのフルーツの濃縮エキスを

一滴ずつ集めて、パチパチ炭酸の泡は

星の数ほど集めて。

それらを透明のシャンパングラスに

合わせいれチェリーをグラスのふちに

ちょこんと乗せて、

最後の仕上げにブルーハワイかき氷の

一番色が濃いところを少し入れる。


想像しただけで唾があふれる、

神様の飲み物である。



先生が「ソーダ水」と読む度に

私は最高の「ソーダ水」作りに

没頭してしまうのであった。


そして給食で「ソーダ水」が出たり。

だとか

1年生の廊下にある手洗い場の左から2番目の蛇口からのみ、いつでも「ソーダ水」が出る。

などの妄想を繰り返し、楽しんでいた。


飲む事の出来ない憧れの「ソーダ水」を考えて、唾を飲み込んでいるうちに終業のベルで私はやっと現実の世界に戻ってくるのであった。


現実の世界に戻って来ても私は、

水を飲む時は必ず左から2番目の蛇口を使っていた。

有り得ない話だと思うが、

左から2番目の蛇口から飲む水は

かすかに甘い気がするのだ。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ほろ酔い 東 駿 @casio1717

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ