第3話
教室に入ると、急に皆が頭を下げた。
「本当にごめんなさい!!」
急な事態に頭がついて行かない。
「私達、あおいにこころを無視しろ、って言われて…逆らえなかったの…」
あおい…?あぁ、私を嫌ってる子か。やっと理解した。然し、その本人の姿は見えない。
とりあえず、みんなを宥めて授業を受ける。
「こころさんって、何か趣味とかあんの?」
男子が話しかけてくれる。
今までこんな事一度も無かったのに。
学校って、楽しいんだな。
放課後。購買でカフェオレを1本買って例の事務所に向かう。
手にひんやりとした感触を味わいながら、階段を登る。
野球部の声、ボールが体育館の床をつく音、笑いながら道を進む男子達。
私は何も見ようとも聞こうともしていなかったのがはっきりと解る。
そんなことを考えていると、「OPEN」の札を壁にかけた部屋に着く。
今度はしっかりと確認してからノックをする。
「どうぞ、お入りください。」
ゆっくりとドアを開ける。
「ああ、昨日の」
「先日はどうもありがとうございました。」
私もなるべく丁寧に言う。
「それでは、がめついようですが先に報酬を」
私はカフェオレを渡す。
「はい。確かに頂きました。
またの依頼をお待ちしております。」
…数分でこの部屋に用が無くなってしまった…
ドアノブに手をかける。
「お待ち下さい。」
突然呼び止められた。
「は…はい、何でしょう?」
「実は、折り入ってお願いがあるのです。」
何かあったのだろうか。
「はい。私に出来る事であれば」
「それでは…」
探偵さんは仮面を外した。
「塚本さん、君に探偵事務所の情報管理を欲しいんだ!」
「…はい?私が?」
「うん。君はパソコンやネットの情報管理に秀でていると知ってね。しかも、御誂え向きに部活動にも所属してないし」
「なんで…知ってるの…?」
「それは…言えないけど…」
やっと状況が掴めてきた。
つまり私をスカウトしてるってことか。
…何この展開。面白すぎない?
「…私に出来るのであれば!」
「その言葉、待ってたよ!」
握手を交わす。
やれやれ…これから今まで以上に学校が楽しくなりそうだ。
わたしと探偵とカフェオレと シラホシ @shira_hoshi
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