第2話


「「あっ…」」

その人は即座に顔を隠した。でも、私は一瞬顔を見ただけで解った。

「か、鴉間…くん?」

鴉間くんは私のクラスメイト。いつもは本を読んでいる大人しい男子である。

鴉間くんは顔を顰めて

「うん…」

と、答えた。

どうやらこの部屋の主であり、このなんでも屋の店長は彼だったのだ。

「ごめん…準備もあるからさ、少しだけ外に出てもらえる?」

「うん。」

申し訳ない事をしたと少し反省していると、ドアが開いた。

「ようこそカフェオレ探偵事務所にいらっしゃいました。どうぞ、お掛けください」

人が変わったように彼が言う。

探偵だったのか、と思っているうちにお茶を出してくれた。

ツッコミ所は沢山あるが、そこは置いておいて本題に入る。

「私のいじめ、なんとかなりませんか?」

「いじめ…主犯格、共謀者などは解りますか?」

「いえ、解りません…」

誰が主犯か、そんなのもわかんないなんて…

やっぱり、難しいかな…

「はい。ならば少しお時間頂けますか?」

「はい、構いません。」

返事をすると、すぐに鴉間くん、いや、探偵さんは電話を始めた。

「もしもし、次の件だが…」

電話中に室内を見回す。

本棚と資料が山積みの勉強机、コップ、冷蔵庫などがある。

電話が終わったようで、

「お待たせしました。今回の件、承ります。」

と、私の望んでいた答えが帰ってきた。

「はい。お願いします。」

私は浮かれて事務所を後にした。


「ランド、ターゲットのSNSの情報掻き集めろ。徹底的にやるぞ」

「了解、クロウ。"どうせやるなら徹底的に"だな。」


家に着いた。こんなに楽しく帰宅した日は初めてだ。

風呂から出ると通知が一件あった。

探偵さんからだ。なんで私のLIMEのアカウントを知ってるのだろうか。

「本日の件、終わりました。」

『早いですね!』

「はい。後日、報酬のカフェオレと一緒に御足労願います」

カフェオレ1本でいいのだろうか。

『はい。解りました。』

返事をして今日は寝ることにした。

探偵さん…末恐ろしい人だ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る