第11話 高校卒業

先日、無事高校を卒業した。

世間がこんなことだからお祝いムードも控えめだったが、周りの人は暖かく私たちの門出を祝って下さった。

友達との別れ際、多くの人から言われたのが「大学へ行っても手品見せてね」という言葉であった。

じつは私は中学生の頃から趣味で手品をしていたのだ。(ということにしておきながら、本当はただ友達が欲しくて動画サイトからかじっただけの僅かな知識を武器にどうにか目立とうと頑張っていただけだけど。)

いきなり手品なんぞ初めておかしな奴だったと思う。友達が少ないという時点でお察しの通りだが、私はクラスでも地味なキャラだったので手品をするや否やたちまち「手品の人」というキャラ付けで印象がついたのである。ありがたい。アイデンティティ万歳。

なぜ始めたのか聞かれても友達が欲しかっただなんて恥ずかしくて、「忘れた」と誤魔化してしまい、とうとう卒業まで誰にも言わなかった。

みんなから期待の言葉を貰いつつも、友達ができてからというもの、満足してしまい手品道具には全く触れなくなってしまっている。だからもう今は何もできない。

でも手品をやってよかった。友達と、それからもう一つ大切なものを手に入れられたから。


その思いは、いつか公開するであろう作品に込められたら良いなと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

金魚草 ハラシマツユメ @bouvardia0927

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ