第10話 自己分析時間

僕は傷つかないフリが上手い人間だと思う。

実際に傷ついていないと言えば嘘になるけれど、周りに露見するほどのショックぶりを見せることなどは殆ど無い。というか、感情の見せ方がよく分からない。

中途半端な優しさを与えるくらいなら何もしない方が良いと割り切ってしまうことが多かったりなど、良くも悪くもドライな部分があるからだろう。

兄妹も含め、僕は誰とも喧嘩したことがない。そしてこれは自分の欠点だと思っている。

ドライな性格故に喧嘩をする領域にまで友人関係が発展しないのだ。

それでも僕はいつだって誰かのために生きられたらいいなと考えてしまうので、人の気持ちには分からないなりに結構敏感になっている。

それでも時々分からない。すぐに自分の感情を出す、感情を表に晒せる人の気持ちが分からない。今まで人とのぶつかり合いを経験してこなかったツケなのだろう。


だから僕は心の傷ついた人に興味がある。

傷ついた時、それを周りに伝える力のある人に興味がある。

傷ついた時にSOSを出す方法が僕にはよく分からない。

だから自分の心が素直なSOSを出せるくらい一度心をズタボロにされてみたい。


取り繕う余裕がなくなった自分を見てみたい。

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