番外編 美希の日常その2

「本日をもって退職させていただきます。」

「え?どうして?」

「自業自得ですが、週2の3時間出勤に後輩パートになめられ精神的にこれ以上耐えられないと判断したからです。お世話になりました。」

「ちょっと、まっ…」

「仕事着、こちらに置いときます。ありがとうございました。お疲れ様です。」

本日、美希は昼のバイトを辞めてきた。

(んあー!スッキリした!!)

2年も働いてて給料が5万前後ってやってられるか。

晩御飯とお茶を買って帰り、清々しい気分で家に着いた。

「今日は夜休みやしゆっくりしよーっと!!」

いつもの事だけど寝ても寝ても体の疲れが全くとれない。

夜を増やしてから余計疲れが溜まる…。

「そういや、今日アイツと会う約束してたなぁ……。」

アイツとは花谷颯馬のことだ。

大富豪でボロ負けして、色んな経由があって付き合うことになった。

まさか、お客と付き合うとは思ってもみなかった……。

「さっさとシャワー浴びて準備するか。」

定時あがりだと、だいたい18時半ぐらいにいつも迎えに来てくれる。

(今日はどこ走るんやろ…。)

パニック障害という事にしてるけど、本当は違う。でも、言いたくないし言えない。

元カノは多重人格やったって話してくれたけど、それでも言えない。

(深く考えんのはやめよ……。)

シャワーを済ませ髪を乾かし迎えに来るまで

漫画を読んだ。

ピコン♪

「おっ!着いたか。」

タップすると[着いた]ときた。

あらかじめ準備したトートバッグを肩にかけ

家を出た。

階段をおりると颯馬の車があった。

「おつかれ!」

「おう。おつかれ。」

「今日はどこ行くん?」

「まだ、明るいから山道行ってみるか?」

「OK」

「またしんどくなったらすぐ言いや?」

「へーい」

すぐ近くの山道を走ることになった。

何も無いことを祈りたい……。

しばらくすると動悸が襲ってきた。

「ごめん。休憩」

「わかった。もうちょっとしたらコンビニあるし、そこまでいけそうか?」

「それぐらいは…大丈夫……」

勘弁してくれよ……。このタイミングですか?

コンビニに着き外の空気を吸った。

(うぅわ、もう最悪……。まだ寒いのに勘弁してくれよ……。)

「大丈夫か?」

「うん……大丈夫……。」

「落ち着いたら言いや?」

「ごめんな……」

「ええよ。しゃあない事やし。」

15分ほどで治まり車に戻った。

それからは何も起きなかった。

「今日はそこそこ大丈夫やったなぁ。」

「山道でも狭いところはアカンのはわかった。」

「俺も、把握してきた。いつもの駐車場に行って休むか?」

「お願いします。」

いつもの駐車場は人気がなく家からそこそこ近いというかほぼ昔行ってた高校付近にある駐車場。人がいないから停めてゆっくり寝てられる。

駐車場に着くと一気に眠気がきた。

「後ろで寝るか?」

「そうする。」

後部座席で寝るのがお決まり。

横になれてゆっくり寝れるから。

颯馬も寄り添ってくれて眠りについた……。


「ん…んん…?」

目が覚めるとリビングのソファで寝ていた。

「あれ…?あぁ……。」

状況をすぐに理解して、お腹がすいたから棚からカップ麺を取り出した。

時計を見ると23時過ぎだった。

(誰が家に帰ったんやろ……。)

お湯を入れて待ってると通知ランプが点滅しているのに気づいた。

開くと颯馬からLINEがきてた。

(お疲れ様。相当疲れたやろ?。起きてからも少し走ったからなぁ。今日はゆっくり寝えや?おやすみzzz)

「そっかぁ……。あれから少し走ってくれたんや……。全然記憶にないけど…。」

カップ麺を食べ、バラエティー番組見てるとお母さんが帰ってきた。

「ただいまぁ。」

「おかえり」

「今日夜なかったん?」

「ないって言ったやん。」

「聞いてへんし」

「聞いてへんかっただけやろ」

時計を見ると日付が変わっていたから自分の布団に入り眠りについた……。

楽しかっただろうか……。

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1人で4度美味しいカノジョ☆ 美月希 @ruki0412

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