第6話 確信へ…

目が覚めると窓の外が明るかった。

時計を見ると9時を指していた。

(今日は、休みやから何しよーかな……。)

久しぶりの休みをどう過ごそうか考えていると、姉が部屋にやってきた。

「あんた、今日休みやろ?買い物に付き合って。」

「へいよ。」

車に乗り、晩御飯の買い物に付き合わされた。

「なんか食べたいもんある?」

「なんでもいい。」

「1番困る。」

「てか、俺いらん。」

「はぁ?なんで?」

「外で食ってくる。」

「たまには家で食え。」

「寄るとこあるからいい。」

「へいへい、わかりました。」

今日は、Jewelに行く予定をしてた。

でも、みゆきはいない。

1週間レッスンで東京に行って明日帰ってくる予定だ。

向こうに行っててもマメにLINEはしてる。

みゆきは不在だが、たまにはいいか。

買い物を終え、帰宅するとLINEが来た。

みゆきかな?と開くとJewelのマスターからだった。みゆきの事話して緊急連絡先みたいな感じで交換したの忘れてた。

(お疲れ様です!今日お店に来ませんか?みゆきいませんが……。)

お前が営業してどうすんだよ。

【晩飯食ってから行こうと思ってる。】

(僕と一緒に行きませんか?)

同伴か?

【マスターでも同伴するん?】

(いえ!その、差し支えなければ2人でどうかなと思いまして……。)

たまにはえっか。

【わかった。どこ行く?】

(20時に僕の行きつけの店に行きましょ!)

【了解。また、連絡して。】

まさかのお誘いとは……。

これで同伴代取られたら文句言お。

さっさとシャワーを浴びて、着替えて家を出た。

指定された場所に向かうと、マスターがいた。

「お疲れ様っす!」

「おつかれー。で、どこ行くん?」

「すぐそこの居酒屋でどうですか?」

「OK」

歩いて1分もかからない所の店に入った。

席につき飲み物と適当に頼んだ。

「みゆきから聞きましたよ!」

「何を?」

「交際したんっすね!」

もう言いやがったか。

「まぁ。」

「告白したのはどっちすか?」

「恥ずかしいから言えるか!」

注文の品が来て、食べながら色々と話した。

みゆきの事と店の事などなど…

マスターが時計を見ると22時を少し回っていた。

会計を済ませ、そのままJewelに向かった。

店に入ると、相変わらず賑わっていた。

(みゆきがいない時に来るのは新鮮やなぁ……。)

「いらっしゃーい!ここ空いてるしここ座り!」

たまたま空いていたカウンター席に座りいつものビールを頼んだ。

常連さん同士でゲームをしていた。

「そこに座ったらこっちのゲームに参加やで!」

「え?!そんなルールなん!?」

何故か巻き込まれるスタイル。

負けたら一気飲みやん……。

最初はカラオケのOneカメ(次の歌詞が出てくるまで)づつで最後に歌った人が負けのゲームをした。

7人ぐらいいたからそう簡単に負けないやろうと思ってたのが甘かった。

連続5回という記録を自己更新した。

ビール一気飲みさせられだいぶ酔った。

ふとスマホを見るとみゆきからLINEが来てた。そういえば、明日帰ってくるって言ってたな。

寂しがっていた様子だったので、みんなの写メを撮って送った。

(めっちゃ楽しそう!早く帰りたい!てか、話したい!!)

【電話かけたら?】

そう送った瞬間通話が来た。

「もしもし?」

{えらい楽しそうやなぁ!}

「賑わってるで!」

{明日帰るけど、早くみんなに会いたい!}

「明日帰ってくるんやし会えるやん。」

{待てへん!}

通話をしていると急にテレビ通話モードになっていた。

なんかの拍子で押してしまっまたのだろう。

画面が真っ暗だったのから急に明るくなったと思ったら、いきなりみゆきが怒り出した。

{ちょっ!待って!!風呂上がりのスッピン!!アカンって!!}

みんなの方向にカメラを向けるとみゆきコールが凄かった。

(みんなに愛されてるなぁ……。)

みゆきは風呂上がりのスッピンを必死に隠しながらみんなと話してた。

みんなから早く帰ってこいと言われ通話を終了した。

最後にきたLINEは(風呂上がりのどスッピン晒しやがって。覚えとけ。)

そんなに気にするもんか?と思いつつゲームを開始した。


目が覚めると車の中にいた。

スマホの時計を確認すると、7時前になって焦った。

「やっべ!!遅刻するやん!!」

慌てて車をとばし作業服と道具を取りに行ってすぐ現場に向かった。

何とかギリギリ間に合い、ラジオ体操を済ませ作業に取り掛かった。

(あったまいってぇ…。気持ちわっる……。)

完全に二日酔いだった。

限界がきてトイレに駆け込んでリバースした。

「花谷ー!お前昨日飲んだやろぉ?」

「やっぱり臭いします?」

「むっちゃする!」

最悪……。

何とか午前の作業を終わらせ休憩室のソファに倒れ込んだ。

「花谷、大丈夫か?」

「何とか生きてます……。」

「もしアレやったら早上がりしてもかまへんで?」

「いえ、定時までやりますし、寝ればマシになります…。」

「そうか、まぁゆっくり寝とき。」

「すんません……」

これじゃ昼飯も食えない……。

昨日何飲んだのかすら思い出せん……。

酔って、外に出て雨に打たれてたのは覚えてる……。ところどころ記憶がとんでる……。

完全にやらかした。

昼休憩終了のサイレンがなり現場に戻った。

だいぶマシになった……。

スマホを見るとみゆきからLINEが来てた。

(今日定時であがれたら駅まで迎えに来てくれる?)

【ええよ。何時に着くかだけ連絡して】

(了解スタンプ)

そういえば、急にテレビ通話になって不機嫌にさせたの思い出した。

不可抗力やからしゃあないやん。

午後も酒が抜けないまま作業をした。

何とか定時で終わらせてスマホを確認した。

(18:30ぐらいに着く。)

今から帰ってシャワー浴びて出ればちょうどいい時間かな?

さっさと帰る支度をして軽トラに乗り込んだ。東京って2時間ちょいで行けるんや。

そう思いながら家に向かった。

家に着きシャワーを最短で済ませ、車に乗り駅に向かった。

駅に着きロータリーに入るとみゆきの姿が見えた。

みゆきはこっちに気付き手を振って小走りしてきた。

「おつかれ!長かったぁー……」

「おつかれ。体調はどうや?」

「寝てたからどうもない!」

「そっか。」

荷物を入れみゆき宅に向かった。

「昨日はどやったん?」

「ゲームで負けまくって最後の方記憶が全くないし、まだ二日酔い中。」

「めっずらし!」

「かなりやばかった。」

「そりゃ、風呂上がりのどスッピン晒されたぐらいやからなぁ!」

「あれは、すんません。」

それから、東京での過ごし方に1週間近く何をしてたかを話しているとみゆき宅に着いた。

「ありがとう!」

「おう。今日も休みか?」

「ううん!今日から復帰!」

大変だなぁ……

「そうか。なんかあったら連絡してきぃや。」

「わかった!」

みゆきを送り届け、家に帰った。

昨日やらかした事を反省しつつ布団に寝転がった。

モン○ンしていると通知音がなった。

(みゆきからや、なんかあったんかな?)

内容を確認すると、様子が違った。

(昨日女の子に倒れ込んだ反動で怪我させたらしいなぁ。何してんねん。)

げっ。更にやらかしてる。

【マジか…。今度行ったら謝る。】

(慰謝料で湿布代と土下座な。)

は?

【わかった。今から行って土下座する。その代わりみんなの前でやったるから。】

(女の子に怪我させたあげく色々とやらかしてんねんから。)

【わかりました。今から行ってみんなの前で湿布代渡して土下座すればええんやろ?ママの前でやればいいんやろ?】

(みんなの前でやれって言ってへんやん?)

【そういう事やろ?みゆきから聞いてみんなの前で土下座しろって言われたってママに言ってすればええんとちゃうん?】

(ママ関係ないやん)

なんか、またいつもと様子がおかしい。

【ママの顔に泥塗れば気が済むんか?】

(ごめんなさい、そんな事しないでください…。)

やっぱり様子がおかしい。こんな急に変わる?

【今から行って土下座しに行きます。】

(お願いします、しないでください…ごめんなさい、ごめんなさい…。)

なんか、ひ○らしみたいになってる。

【もういいです。】

それから既読がつかなくなった。

しばらくすると、電話がかかってきた。

「はい?」

(もしもし、今から来て……。)

「わかった。」

だいぶ泣いている。別に怒ってないけど、相当応えたんだろうなぁ。

家に着くと階段に座っていた。

窓を開け「はよ乗り」

「足に力が入らない…」

車から降りみゆきを支えて助手席に乗せ

近くの人気のない駐車場に車を停めた。

みゆきは俯いたまま何も喋らない。

「怒ってるとまだ思ってる?」

「……」

「べつに怒ってないけど、余計なこと言い過ぎ。女の子に怪我させたのに怒るのはしゃあない。けど、言い方があるやろ?」

「ホンマにごめん……。」

「もうええで。後ろ行って少し寝るか?疲れたやろ?」

「うん……」

後部座席で横になるとみゆきはすぐ寝た。

旅疲れもあるし、色々と出てきたんやろうなぁ。

俺もウトウトし始めるとみゆきが起きた。

「えっ?!なんでこんなとこにいんの?!」

「は?みゆきがLINEしてきて終わってから呼んだやん。」

「いつぅ?!」

「10時ぐらい?え?ホンマに覚えてへんの?」

「行って誰もおらんくて、あんたとLINEしててそっから所々…?」

「LINE今見てみ。」

みゆきはすぐにLINEを確認した。

「記憶にねぇ……。」

「よし。病院行こ。」

「お、おう……。」

「帰るか?」

「うん。」

みゆきを家まで送って、俺も家に着いた。

(やっぱり、あのパターンか……。)


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