・・・女の顔



鏡をめくると

森がある。


まどろむようにたゆたう

日差しの中に

暮らしは堕ちてゆく。


ひろがってゆく壁の中で

蠕動する草々の音が

沼のように

揺れる。




暦をめくると

夜がある。


どんよりと曇った画像を見つめていると

空のように重い唇が

苦い味を思い出している。




吊り下げられた傷口は

透きとおったその痛みを

いつもこちらに向けて

白い肌の上で

あてもなくさまよい続ける。



アナタガ キライ



言葉さえ吐き尽くすことができれば

今日はもう終わるのに。



アナタガ スキ



戻る道を探りながら

足音だけを頼りに

扉に手をかけた。


銀色の息

置き去りにしてきた

鋼のような思い。


流れ出す髪


朝がまた来る。


喉の奥底

帰れない小さな光を見つめながら


泣いた。



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夜想 北浦寒山 @kitaura_kanzan

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