・・・夜の子供・3


哀しみの手触りは

塵埃の色に似ている。


乾燥した群青色の時間

焔のように

たどる道はたおやかに揺らめいて。


僕は昨日に

眼鏡を置いてきた。


東側の窓。

海が見えるはずだった額縁の隅に。


砂色の重い家の屋根、

見えないその辺縁に煌く

西日の味を噛みしめて。



この街が嫌いだ。



洗い立てのままで18時

静かに足音が腐ってゆく。


しわがれた陽光の奥で

閉ざされてこそ夢。


確かに知っていたはずの

手のぬくみ。


開かれたまま駆けてゆく記憶。

遠すぎる指先までの、あの思い。



光の重さ。

疲労に良く似た匂い。


帰り道。



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