・・・夜の子供・2


つぶやく声を聞いた。



何で?


擾々じょうじょうと雨に包まれて駅。音と共に溶け落ちてゆく私

を眺めながら。


確かめることもなく

私は問い返した。



何でだ?



答えは常になかった。




囁く声を聞いた。



どうして?



弾け散る草露。水蜜の風に潰されて朝。聞こえるはず

のない海鳴りにただ意識を晒して。


よじれてゆく日々に薄く目を開いて

私は頷いた。



そうだな。



答えを吐き戻しながら帰った。





驟雨が水面みなもを凪いで五月。

眼下に晒されたものに

ただ掌をかざして

流れ出る鼓動に息を詰まらせた。





遠雷を聞いた。

叫びは届かない。


静かな声が落ちてくる。



健やかなれ。




全身を雨が切り裂いた。


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