第39話
現在、再び改稿作業を行なっています。麗奈の『青眼』を『碧眼』に変更中ですので、ここからは碧眼になります。宜しくお願いします。
それと年末にかけて更新ペースが普段より遅くなる場合があります。お待ちになってくださってる方にはご迷惑を掛けますが、何卒よろしくお願いします。
◇ ◇ ◇
「な、なあもしかして斉藤の当てって……」
「ああ、今あそこにいる奴で間違いない」
学校に着いた俺と枢木、それから桜山は、校門にてとある人物を待っていた。
SNSでの噂の撤回を不可能だと感じた俺たちは、残る手立てが無いように思えたが、一つだけ方法がある事に俺は気付く。
それはインフルエンサーなどの、影響力のある人間に発言してもらうという方法だった。
噂を流した人間が噂の撤回を行うならまだしも、別の者がそれを否定する場合は、影響力があるかどうかで決まってくる。
要するに俺たちではその影響力が足りていないのだ。
ならば影響力がある人間に発言してもらおうと、とある人物に声を掛けた。
正直その人物が話を受けてくれるか分からなかったが、予想外にもそいつは一言二言で了承してくれた。
そして今、その人物が校門にやってきた。
その人物が予想外だったのか、枢木はかなり驚いている。
横にいる桜山も、声にはしないが枢木と同じ反応をしていた。
都会に来たばかりの俺に、頼れる友人など片手で足りる程にしかいない。
しかし友人で重要なのは量より質だ。
そういう面では俺は良い奴らに出会えたと思っている。
その中でも、あいつはある意味一番信頼をおける人間だと言えるだろう。
夏季の中盤、じりじりと照りつける太陽の下で、艶のある銀髪を靡かせながら、夏の制服姿のその人物はこちらにやってくる。
そして俺たちの目の前に着くと、その碧い瞳が俺と合った。
「おはよう斉藤君」
「ああおはよう、銀さん
俺と麗奈の関係を知っている者はいないので、普段通り学校ではお互い上の名前で呼び合う。
そんな俺たちのやり取りを見た桜山は、枢木の耳元に口を当て、ひそひそと話をしてしていた。
「ねえ隼人、やっぱりあの二人って付き合ってるんじゃない?」
「一応否定してたらしいけど……何か繋がりはありそうだよな」
「でも連絡先持ってる辺り怪しくない?」
「確かに……」
桜山は先程からそうだったが、枢木まで俺を見る目を変える。
流石に学校で麗奈と接触するのは不味かったか。
一先ず怪訝そうな顔で俺を見る枢木達に、俺は言い訳もといフォローを入れてみる。
「銀さんを呼べたのは新聞部の白石経由であって、俺と銀さんは全く関係ないんだ。そこは勘違いするなよ?」
関係を気付かれるのは何としても避けたいので、俺はかなり強めに枢木と桜山に釘を刺した。
因みに二人には白石経由と伝えたが、実際は俺が直接麗奈を呼び出した。
しかしそれを言い切った後、横にいた麗奈が何故だかいきなり肩幅程度に少し足を開き、軽くジャンプを始める。
それは正しく、今からミット打ちをするキックボクサーの動きに酷似していた。
何事かと思ったのも束の間、今度は突然俺の腿裏に激痛が走った。
その痛みに耐えきれなかった俺は、ダメージを負った箇所を抑えてその場に崩れ落ちる。
崩れた後周りを見てみると、白肌の綺麗に伸びた麗奈の足が目の前にあった。
スカートはひらりと舞っていて、この腿裏の痛みは麗奈ローキックによるものだとそこで確信する。
俺は地面に腿裏を抑えながら何とか立ち上がる。
すると麗奈は何故か苛立っており、俺を睨んだまま腕を組んで立っていた。
「何すんだ!」
「あら御免なさい、そこに虫が止まっていたのよ。二足歩行の」
「昆虫に二足歩行はいねぇよ……って俺の事言ってんのか!?」
突然意味不明な事を言い出す麗奈に、俺は声を荒げてそう言った。
急に人の事を蹴り飛ばすと思えば、今度は虫呼ばわり。
一体どうしたと言うのだ。
何故かいきなり不機嫌になった麗奈の事は一先ず置いておき、俺は再び枢木たちに顔を向ける。
するとまたもや枢木たちも、俺を見てこそこそと話をしていた。
「ねえ今の見た? あんなスキンシップ普通よく知らない相手にしないって!」
「今のは確かに怪しいな……」
「ま、マジで違うから!」
結局俺への疑いの色は濃くなってしまい、頼みの麗奈からは不満を買ってしまった。
一体俺の何が悪かったというのか。
今の俺には全く分からなかった。
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