おいどん、左江内殺魔漢45年生

「1日泊めていただいてありがとうさげもした」



おいどんはタケル氏に深く礼を言う。



「昨日は楽しめたぜ、困った事があったらいつでも来な、力になるから!」



タケル氏は爽やかな笑顔と声でおいどんを力づけた。



タケル氏の爽やかさでおいどんのこれからの生活の不安も一気に吹き飛ばされる。



そしておいどんは寺を後にし、まずは職にありつけるようにハローワークに行く事にした。



ーーーハローワーク。


職業案内所には思ったより多くの人が切迫詰まった表情で職を探していた。



おいどんもいち早く職を見つけようとどのような仕事でも良いから案内してくれと受け付けの人に頼んだ。


ーーーー



おいどんは職業を必死に探したが年齢と言う壁や若者が多く来ていておいどんと同じように必死に探していた事から結局は仕事にありつける事は出来なかった。



ニュースでは景気は良くなっているとよく言うが何が景気良くなっていると言うのか、若者すら仕事を見つけるのが難しいと言うのにから。



おいどんはそうゴチながらベンチに座る。



そして側にカップルがいてそのような事をダベりだした。



「そう言えば武藤タケルと言う住職が妖怪退治に出て捕まってしまったらしい」



「やーね怖いわ、いつここも妖怪に襲われるか…」


「大丈夫だ俺が守ってやるから」



武藤タケル氏が妖怪に囚われただと!?


それにこの若造と女の無責任な言動から情けないが、おいどんはフツフツと腹わたが煮えくり返っていた。



「貴方は武藤タケルよりもカッコよくて頼もしいわ♪」


「あぁ、俺はあんなクソじじいよりも強い、妖怪なんか俺の拳で充分だ!」



おいどんは堪忍袋の尾が切れ、若造の胸ぐらを掴み、体を持ち上げた。



「貴様ら、武藤タケル氏の悪口を言うのはやめろ!あの方を捕らう妖怪相手に、お前のような若造が敵うはずがなか!!」



「な、何だあんた!?武藤タケルの知り合いか??」



若造は狼狽えた様子においどんに問う。



「武藤タケル氏はおいどんの恩人じゃ!!」



「禿げ頭の分際で、何カッコつけてるのよ!」


女はおいどんに嫌味を言う。

おいどんには何を言っても良い、しかし武藤タケル氏を悪く言うものは許さない!


「何とでも言え!しかし、あの方を悪く言うのはこのおいどんが許さない!」


おいどんは二人を睨み怒声を上げた。


「へ、あんた度胸はあるようだが実力がいかがなものか試したくなって来たぜ、俺だって剣道で県大会優勝した事があるんだ、俺と勝負してみないか?」



男はおいどんに喧嘩を売ってきた。




これだけの事を言っておいて逃げるのは漢じゃなか、おいどんはその男の喧嘩を買う事にした。



ーーー



おいどんは木刀を握る。



(懐かしい…そう言えばおいどんもかつては剣道で汗を流してきたもんだ…)



あん時のおいどんは輝いていた気がする。


今は見る影も無いが無理も無いだろう。

人間の体は年齢には勝てん。


「行くぜ、おっさん!」



若造は木刀を構え不敵な笑みを浮かぶ。

おいどんに勝てる気満々のようだ。


確かにおいどんは年齢で体力は衰えていて若い頃のような身軽で力強い動きは出来ぬ。


しかし人生経験と辛酸を舐めた数ならこの若造には負けるはずがなか!



おいどんも体から赤色の闘気を放ちながら剣を力強く握った。



「ダイスケ!こんな禿げ頭なんかちゃっちゃとやっつけちゃって!」



女は若造に黄色いエールを送る。



おいどんも非リアの期待に応えなければなるまい。



この戦いは負けられ無いな。



「行くぜ!!」


「チェストー!!」



そして両者は激しい打ち合いを始めるのだった。

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おいどん剣士SATSUMA 海豹ノファン @retubou

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