俺の人生はたった一言で友人に支配された。

光合成する森ロボ

第1話 油断は禁物です。

僕は古蔵こぐら 研人けんと

恋露れんろ高等学校に通う1年生だ!

皆には秘密だが、僕には彼女がいる。


出会いは南田三町の夏祭り。

一目惚れだった...。蒸し暑い夏の夕暮れ。

祭りがこれから始まるという時間、彼女が見えた。

すらっとした脚に、綺麗な黒髪。

そんな彼女を引き立てる浴衣姿、まだ名も知らない人なのに自分は引きこまれるように"恋"をしたんだ。

僕は勇気を振り絞って彼女に声をかけ、祭りを一緒に見て回った。話しているうちに距離が縮まる。彼女が笑うたびに、そこだけ輝いている様にさえ思えた。


そして、その日のうちに告白したんだ。

『一期一会。』

そんな言葉が頭によぎった...。

彼女を離したくない、手放したくない、という思いが強く、あったのだ。


彼女は勿論、イキナリだから断った。

僕は落胆したが、『友達からなら?』という彼女の言葉を聞き、どうにか立ち直った。

そして、連絡先を交換し、話す機会や会う機会も増え、付き合う事となった!


まだ付き合って半年だが大切な彼女だ!

お互いもうメロメロ!

時間があればRAINのメッセージで会話したり、通話したりもする!


今日もウキウキ♪ルンルン♫で、メッセージを送る。


未来みく愛してる♡』


\ RAIN /


『あっ...』


しまった...。アイコンが違う。背景も違う。名前も違う。履歴も違う...。


そう。僕は...


『友人にあやまって愛を囁いてしまったのだ!!』


終わった!不覚!弱味を握られてしまった!僕は秘密主義を貫いていた!

学校では真面目な生徒を演じていたし、友達とも恋愛の話は一切していなかった!

きっと、恋愛に興味がない人間だと思われていたに違いない!


それが何を意味するか...


先ず、友人に学校中にその事をバラされ、笑い者にされる!あと、2年間も"愛を囁く者"とか!"ラブメッセンジャー"とか!変なあだ名を付けられながら卒業するのか!!


そんなの絶ッ対に嫌だ!かくなる上は...


"ヤル"しかないか??


友人の弱みを握るか、もしくは友人をヤル!...は無理だし。

友人に口止め料を払う!...は信憑性が無い。ならば最後の手段!


友人に頼み込む!!


先ずは、気にしていないように...


『ごめんごめーん!間違えちゃった☆ 気にしないでくれ!』


『古蔵でも愛を囁くんだな』


グサっ!


心に刺さった...。

ああ、俺の理想像が崩れていく...もうダメだ...戻れないんだ...

あの学校生活には、二度と...。


\ RAIN /


『安心してくれ、誰にも言わないよ。イジるけどね( ^ω^ )』


...ッ!こいつ!確実に今の状況を"楽しんで"やがるッ!

僕の弱味を握った事を!こんなにもッ...!

許さんッ!


このままでは、友田の操り人形になってしまう!それは阻止しなければ...

だが、手立てがない!くそう...あの"一言"さえ無ければ...、

あの"送信ボタン"を押さなければ...。


『僕の人生はたった一言で友人に支配される事は無かったのに!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の人生はたった一言で友人に支配された。 光合成する森ロボ @hutaridehitori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ