第20話 おじさん、勇者、魔王さま…… (20)

「いいや、本当なんじゃよ。だから儂もさてさて、どうしたものかと? 悩んでいたところ。家の主人が儂ら二人を自身が生涯をかけて責任を取り守ると、何とも男らしい言葉を申したから、世話になろうと思っていたらのぅ……。勇者エヴァ、お主がいきなり憤怒して襲ってくるから、色々と皆に説明をしたい気持ちは、儂自身にもあったのだが、出来ずにここまできたと言う訳じゃ……」


「それは、魔王! 貴方が! この殿方を脅すから……」


 魔王さんの話を聞いて、勇者さんは不満の言葉を漏らしたよ。


「脅すも何も、自分の主人に、車で顔や頭をぶつけて痛かったと、儂は少し荒々しい口調で愚痴を述べたらいかぬのか?」


 すると今度は魔王さんが、売り言葉に買い言葉ではないが?


 勇者さんに不満を述べたのだよ。


 自分は俺に愚痴や不満を述べたらいかぬのかと?


「えっ? いや、あの時点で私は、この男性が、魔王、貴方の夫だと知りませんでしたから……。ついついと、貴方がこの男性を脅して従わそうとしているものばかりだと思って……」


 未だ頭鎧を被ったままの状態である、勇者さんは……。表情こそわからないが?


 気落ちをした声で、今の台詞を述べたのだよ。


「……でッ? 勇者エヴァ、お主はどうするのじゃ? 儂は今述べた通りで、家の主人の世話になるから日本この世界でも、苦もなく暮らせるが……。お主は、毎日の暮らしを支える糧を得るのにどうするのじゃ? ここは異世界じゃぞ?」


「えっ?」


「 "えっ?" ではないぞ、勇者エヴァ? おいはぎとか盗賊? 強盗でもするのか? お主は勇者なのに?」


「えっ? そんな悪人みたいな事はしません……私は勇者ですから……」


「じゃ? 今晩から、複数の男達相手に、勇者エヴァ! お主は、身売りでもするのか?」


「えっ? い、いや、そんな事をするぐらいなら、今直ぐここで自害をします……」


(24~2)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おっさんの俺が、魔王と勇者の争いを中断させたよ……(商い日和 改修版) かず斉入道 @kyukon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ