悪鬼によって狂わされた人々の物語

邪悪な性根と、悪すぎる頭を併せ持った悪鬼によって、人生を狂わされた人々の話です。
主人公は「昏睡レイプで妊娠させられた女性から生まれた暴力の子」である女性。
ある日、自分の出生の秘密を知り、犯罪者を激しく憎むようになります。
そのせいで、本来あるべきだった彼女の生き方を、犯罪者に罪を償わせることに全振りするように。

この物語には犯罪者が複数出てきます。

正確に言うと、元・犯罪者がほとんどなのですが、彼らの自分勝手な、無責任な考え方には怒りを搔き立てられますね。
ムショに入っただけで、自分のしでかした罪が清算されたと妄想し、自分の人生を生きようとする。
他人の人生を取り返しのつかないほどに踏み潰しておいて。

ここらへんの身勝手で頭の悪すぎる思考回路の描写が見事です。
読後、ムカムカしてきますが、それが味です。

読み終わった後「馬を水辺に連れて行くことは出来ても、水を飲ませることは出来ない。罪を償う気のない罪人を、どうするのが正しいのだろう?」という、答えの出ない問いを考える気にさせられます。

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