「やっぱり」
最近、何かと「やっぱり詐欺」に遭遇する。
結論を書く。転職に成功して三日で辞めた。
正式には五日。休日込みで五日。
酷く、落ち込んだ。
理由はシンプルに二つあった。
一つは業務内容についていけないと思ったこと。
そしてもう一つは、聞いていた出勤内容と違っていたということ。
やっぱりそう来るか。
この業界は。
そう、痛感した。
そして、今は就活という無給休暇になっているわけだ。
そこまで落ち込んでいない理由は、一か月ほどはニートでいれることと、兼業でやっているライター業務に在宅ワークとして従事しているからということ。
このまま、この生活も悪くない。そう思ったけど、やっぱり固定の収入がほしい。
だから、無理なく外れもない日勤で、家庭と両立できる仕事を今、探している。
して、この「やっぱり詐欺」。
この「やっぱり」には一月から二月の今までひどく苦しめられた。
最初のやっぱりは新しい職場の勤務表を見たとき。
日・祝休みなのに祝日が出勤になっていたこと。
細かい性格の為、実は内定を承諾する前に
「本当に日・祝休みですか?」
なんて聞いていた私。
もちろん人事の人は言う。
「そうですよ。でも、月に一度は日曜出勤があって、年に五回ほど祝日が稼働日になっているから、そのうちの二・三回は出勤してもらわないといけないかもしれません」
「了解です」
ここで家族にも了承を得た。子どもをお願いしなければならないから。
「土曜日は月に三日ほど指定の休暇日を選べるので、そこであてちゃえば休みがもらえますよ」
「本当ですか?!」
「ええ」
ここでうきうきしていた私に、今の私はカツを入れてやりたかった。
そして、シフトをもらってびっくり。そもそも祝日がない。そして土曜日はすべて出勤となっている。平日に休日があてられている。
まあ、最初だから土曜日が休めないのは致し方ない。だが、祝日は何が起きている?
「やっぱり、この業界じゃあこんなもんなのか…しかしこれでは仕事どころか子どもの面倒見れないぞ」
先方にもう一度確認。
「間違えていました。ごめんなさい」
と、シフトを変更してもらった。
違和感があったものの、まあいいかと思い、初出勤日を待った。
身体が重く感じるのは、転職先へ行くことへの緊張だけだと思っていた。
そして、事件が起きた二回目の「やっぱり事件」
出勤二日目にして、配属先の現場の管理職より教えてもらった「現場」の事情。
日曜→年に二回は最低でも出勤あるわよ
祝日→できれば出てほしい
土曜日→土曜日にしかできない仕事がある
「やっぱりか…」
出勤三日目が終わり、もやっとしている気持ちが爆発。
ここで、電話で人事部の担当者に退職の旨を話す。
「これは話と違う。辞めさせていただきたい」
「そうですか…平日のみの出勤とかどうですか?」
そう来ると思った。が、私は意地悪にも聞いてみた。
「それは、正規社員にはならないですよね?」
「ええ…」
「非正規社員であれば、もっと家の近くで探せるので、退職します」
そこで、今後のことを打ち合わせ。制服はクリーニングに出すかどうか、置いてある備品はどうすればいいか。
「そのままでいいですよ」
「私物があるのですが、郵送してもらえるのは可能ですか?」
「ええ。そのように対応させていただきます」
電話を切り、急ぎハロワへ。
とりあえず、副業のライターを本職にすることが早まっただけの話と考えた。ライターに支障が出ない程度の日勤の仕事を探したい。
そう思い、面接日をひっきりなしに入れた。
すると、今日だ。今日三回目の「やっぱり詐欺」
「やっぱり取りに来てください。退職で色々手続きが必要で…」
おい。電話の内容覚えているか。
「やっぱりか…これ丸め込まれるぞ」
揺らぐはずはない。
常勤で、条件のいいところを絞りに絞って選んだ通勤時間約四十分の場所。そこが条件と合わないことや、家庭と両立できないことが分かった以上、非常勤という選択肢はそこにない。
なのに、往生際が悪い。普段からあまり感情を表に出さない私でも、枕に顔を押さえつけて「さぎしいいいいいい」と叫んでしまったよ。
「やっぱり詐欺」。命名してやった。
と、長いノンフィクションを書いてみたが、この「やっぱり」への固定概念が捨てきれない。
今、私の中の「やっぱり」は、酷く嫌悪感を抱かせ、かつ憤りを覚える言葉である。
以前までは、この言葉をいい文句だけにとどまらず、自身を擁護するための糧として使い分けるものであると感じていた。
だが、この言葉の意味そのものが全身に振りかけられると、いとも簡単に線がぶった切られる。
この言葉、侮れない。
しかし、裏を返せば無休となった今、「何を」本懐とするかがわかってきた。
やっぱり、こうした文筆活動や、小説・エッセイを書くことが一個人の生活のルーツになってきている。
今はまだ、その時ではないと思いながらも、こうした道を目指したいと再度思わせてくれるものとはなった。
そして、多少追い込まれている私には「やらなければならないこと」として、ちんたらと進んでいた足に鞭を打つきっかけにもなった。
さて、まずは固定収入先をしっかりと探そう。
そして、ゆくゆくは家で、こうした文筆活動をもとにした仕事を、本職を育むために、努力に勤しもう。
そう、思った「元・福祉職」のつぶやきでした。
趣味麗 井筒 史 @putamu
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