chapter5 遺跡の村
あれから俺達は、歩き続け正午を回った辺りで、ある村に着いた。
それは、ゴーレムと呼ばれるかなりデカい石の像が立ち並ぶ珍しい村だった。
俺達は、辺り一面見渡しながら、村の中を散策した。
すると突然、黒いターバンを着け、ダガーを握った集団に囲まれた。
「おいお前らよそ者だな、ここから今すぐに立ち去れ」
と言われて俺は
「はいそうですか、分かりましたって言って立ち去る馬鹿がどこにいるってんだよ?」
と返すと突然、襲いかかってきた。
どうやら奴らは能力者では無いみたいだから俺達はあらかじめ用意してあったダガーを抜いて、戦闘態勢になった。
周りで見ているほかの人はただ黙って見ているだけだった。
俺達は、集団を軽くあしらって、集団が少し焦り始めた時、奥から
「やめておけ、こいつらはお前達じゃ勝てねぇ相手だ」
と声が聞こえ、奴はすぐその場から下がった後、声が聞こえた場所の少し奥から一人の黒のロン毛で髭を生やし、左眼と上半身のあっちこっちに傷痕が付いた男が出てきた。
どうやら奴は戦闘する気は無く、逆に俺達に謝ってきた。
「お前さん達普通の旅をしている能力者だろ?ごめんごめん、さっきの奴や街の人間は、こないだの出来事のせいで、よそ者を警戒していてな。でもお前さん達は帝国の人間では無いのはさっきの戦いを見て分かったよ」
と話し、俺は
「帝国の人間?ここで何かあったのか?」
と尋ねると男は
「ここで話すのもあれだ、付いてきな」
と言ったので、俺達2人は奥にある石で出来た建物の中に入った。
その中は床にじゅうたんが敷かれて、ソファー2つとテーブルがあったので男に座ってくれと言われたので俺とルーシェはソファーの1つに並んで座った。
そして、俺達は名乗りをすると、男も
「俺はヤジャだよろしくな」
と名乗り出してくれた。
どうやらヤジャも能力者らしく、俺達の戦いを見てすぐ分かったそうだ。
それはさておき、俺が帝国の人間がこの村に何をしたんだと問い詰めると、ヤジャは
「この村のある娘を拐った」
と言い始めた。
話によれば、ベルモスと言う帝国軍の人間が、部下を引き連れてこの村を襲ったのだが、さっき俺達を襲った集団とヤジャが一緒に抵抗して争ったから、重大な被害には及ばなかったらしいが、とある娘が出てきた途端、部下を使って拐っていったそうだ。
そして、ヤジャ曰く恐らく奴隷として帝国本土に連れていかれるみたいで、しかも彼はその後「その娘って言うのはこの村の長で、しかも俺の妹なんだよ・・・」
と重たかったであろう口を開いた。
そして、俺達に
「お前さん達の強さをかって協力をしてほしいのだが、乗ってくれるか?」
と協力を要請してきたので、俺は
「分かった、これでも俺達も奴らから狙われている身だし、それにそろそろこちらからたたみ掛けたい時だった」
と返し、彼は
「よし、決まりだ宜しくな!!」
と述べ握手の手を差し出して来たから、俺も
「こちらこそ、宜しく」
と返し握手を交わした。
一方、村から少し離れた城跡の地下牢に、牢屋の中に囚われたヤジャの妹と、牢屋越しで立っているベルモスの姿があった。
ヤジャの妹は、ベルモスに
「あなた方みたいな人達が、兄上勝てると思ってるんですか!?」
と言い放ち、ベルモスは部下に棒でヤジャの妹を強く叩けと命じ、部下がそれを実行した後に、ベルモスは
「お前の兄貴なぞ知ったこっちゃない、俺はお前をある二人を誘き出すための囮として捕まえたのだ」
と言い放ち、その後
「まぁ、お前とお前の兄貴もついでに一緒に殺っても悪くないかもな」
と言い放ち、看守担当の部下にしっかり見とけよと伝え、豪快な笑い声を出しながらその場から去った。
その直後、ヤジャの妹は
「兄上じゃなくてもいい、誰か助けてください・・・」
と、涙を浮かべながら弱く呟いた。
記憶の断片 園藤 雅也 @masaya_endou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。記憶の断片の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます