少子高齢化

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少子高齢化

 今よりそう遠くない未来、エヌ国では少子高齢化がとても進んでいた。国内に住んでいる私たちの密度を示す図式は釣り鐘式と呼ばれていたこともあったが、その頃には逆三角形型と呼ばれていた。

 エヌ国はこの問題に対処するため、長年にわたり研究してきたある装置を今年ついに完成させた。これを使えば減少に大きな歯止めをかけられる算段だ。

 エヌ国最先端科学省少子高齢化対策研究所のエイ博士とケイ助手は装置を目の前にして大いに興奮していた。

 「博士、やっと完成しましたね。長年の課題だった少子高齢化をやっと止められるのですね」

 「ああ、今までは時間も手間も費やして生まれてきた私たちだが、この装置が完成すれば瞬く間に我らが生まれてくることだろう。さて、早速だがケイ君、装置に入りたまえ」

 「分かりました」

ケイ助手は装置のふたを開け中へと入り仰向けとなった。

 「博士、設計図では背面が透けているのにここは真っ暗で何も見えません」

 「じっとしたまえ、装置を起動させるのだから。暗くないと装置がうまく作動しないのだよ」

 「ケイ君、装置のスイッチを押すぞ、3,2,1,スイッチオン」

ケイの体は一瞬まばゆい光に包まれた。

 「いいぞ、ケイ君。続けてうつ伏せになってくれ。3,2,1,スイッチオン。よしいいぞ、もう終了だ」

 「それで、どうなりましたか」

 「ああ、これをハサミで切って面を合わせてのり付けしたら、ああもう完成だ。我々はもう手書き職人を育成しなくてもよくなったのだから」

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