本作は「腐敗した社会に産み堕とされた者の闘い」である。
憎悪は一方通行の銃弾となって闇を駆ける。正義と倫理は圧倒の暴力として再生を果たし、焦土に業火の華を咲かせる事となる。
作り込まれた設定、息を呑む戦闘描写。
膨大な設定の数々と作中に出て来る兵装・ガジェット、組織や存在は、作者の聡明な知見と構成力で見事に仕上がっている。ミリタリーやSF分野は文章力や構成力だけでは完成せず、良い作品足り得ない。
「たった一話」、その裏には多くの知識や考察が潜んでいるのだ。
悲しいかな、万人には届くまい。この慟哭が。
堕落の美酒に酔いしれよ。己が蒙昧に気付かぬまま。
確かに一見、敷居が高いかもしれない。
しかしそれだけでは諸君らが読まぬ理由にはならないだろう。
死と平和の双子は鉛と代わる。
少女は、太陽に、引き金をひく―――