Chapter 2 Ignite ⑪
戦闘領域は混迷していた。
白拍子。傭兵達の間では知らない者はいない要警戒の凄腕との突如の遭遇戦。
そして倒したと思った千原姉、〈紫のモビーディック〉が再び立ち上がりこちらに攻撃を加えてきたのだ。
胸に風穴を開けてまだ戦えるという道理など無い。だが現実に〈紫のモビーディック〉の装着者、千原姉は対物ライフルで撃たれたにも関わらずまだ動いている。どういうからくりがあるかは後で考えればいい。今は目の前の問題に対処するのみ。村木と三条はベテランらしく冷静にかつ至極シンプルに判断する。
とはいえ胸を撃たれた千原姉もダメージそのものはあるようで、その動きもM2による照準も全く安定していない。まるで生きた人間ではない、ゾンビか何かであるかのように。
そして高い威力を誇るM2を無造作に振り回しているのであれば、うかつに近づくことはできない。重傷で思考がパニックに陥っているのか、あるいは何も考えていないのか何をしでかしてくるのかもわからない。今でこそ千原姉の狙いは村木へと向けられているが、流れ弾が白拍子と応戦している面子に飛んでくる恐れもある。早い所対処しなければ、と三条は歯噛みする。
M2重機関銃は第二世代型の装甲も当たり方が悪ければ貫いてくる程の威力を誇る。〈ティーガーシュベルト〉であってもうかつに顔を出すわけにはいかなかった。
村木は道路脇の遮蔽物に、三条と千葉はトレーラーの影にカバーリングしている。トレーラーとカーゴには防弾措置が施されているが、いつまでも引っ込んでいられる状況ではない。
千原姉は先程から雄叫びを挙げている。肺を潰されているため、まさしく怪物の咆哮とも言えるものだった。
「タフだタフだって聞いてましたけど、千原姉妹ってあそこまで頑丈なものなんですかね」
三条の傍でマグプルマサダを抱えている千葉が零す。
「どうだかな……」同じく牽制のために撃つ尽くしたマグプルマサダのマガジンを再装填しながら三条が応える。
防御力においては第二世代型より勝る〈モビーディック〉に対しアサルトライフル程度では有効な対抗手段とは言えない。そのため生身の歩兵がDAEと応戦する際はバレットのような対物ライフルが有効とされている。
カーゴの中に予備のバレットは存在する。だが中に入るには〈紫のモビーディック〉のM2の火線に晒されることになる。三条はカーゴの影から腕だけを出してマグプルマサダを掃射するが牽制にもなっていなかった。
『〈サーベラス3〉から〈サーベラス1〉へ……!』
通信。美月の声だった。
「馬鹿野郎! 狙う撃ちにされるぞ!」と村木。
美月は三条達がカバーしているカーゴの上でXM109ペイロードを伏射体勢で構えていた。
『一発だけ撃てます! 右腕部が破損してFCSもエラーまみれですが必ず奴のどこかに当ててみせます! ですのでその隙に反撃を!』
問答する猶予も無い。「ならやれ!」と村木が怒鳴るように指示する。
間髪入れずに美月のバレットが吠える。狙いは〈紫のモビーディック〉の頭部だったが、銃弾は逸れてM2の給弾ベルトを食い千切った。
美月の存在に気づいた〈紫のモビーディック〉がカーゴの上に向けてM2を振り回す。残弾の銃撃がXM109ペイロードを粉砕、そして火線が〈シンデレラアンバー〉を一瞬舐めた。その衝撃に吹き飛ばされ、カーゴの上から転落した。
「影山ぁ!」
彼女の元へ駆け寄りたい思いを抑え込み、村木は遮蔽物から飛び出しM107CQを構え射撃する。渾身の一撃が千原姉に届く。〈紫のモビーディック〉のM2重機関銃を持つ腕が粉砕された。
千葉が援護射撃を開始すると同時に三条がカーゴへ飛び込む。中にあったバレットM82を手にして再びカーゴの外へ飛び出す。直立姿勢の状態で村木と共にNATO弾による掃射を叩き込んだ。
胸にさらに数発撃ち込まれ、四肢が粉砕されるとようやく〈紫のモビーディック〉は沈黙した。膝から崩れ落ちる。一瞬動きが止まった所を村木の止めの一撃が頭部を粉砕した。
「もういっぺん死んどけ、死にぞこないが」
村木と三条がダメ押しのもう一撃を叩き込むと、ようやく〈紫のモビーディック〉は完全に沈黙した。
コールサイン〈カラード〉、四機の第二世代型DAEの管制を務める守口が歯噛みする。先程の白拍子の攻撃に加え、千原姉のM2により〈シンデレラアンバー〉が無視出来ないほどのダメージを負っていた。胸部と左肩部に大きなダメージ。右腕部破損。
幸いなことに装着者である美月自身にまで傷ついてはいなかった。だが、これ以上戦闘に参加させるわけにはいかない。
『各位、〈サーベラス4〉は無事です! 影山さん、下がってください!』
〈シンデレラアンバー〉はM2による銃撃を受けた際、白拍子に対して姿を露わにする位置に転落していた。
守口の指示。視界にはいくつものアラートが重なっていた。
「こちら〈サーベラス2〉、美月ちゃんを援護する!」
美月の前に出た辛島が彼女の肩を担いで戦闘領域からの離脱を図る。
「かもーん、宏樹く〜ん! 北海道クーデターの決起に死ぬのが怖くて参加し損ねたチキン野郎ぅッ!! ギャハハハハハ!!!」
白拍子が能面を揺らしながら下卑た挑発をする。
その言葉に辛島が呻く。だが、なぜそのようなことまで全く埒外の存在である白拍子まで知っているのか。
おそらくこちらの情報漏洩は確実なものだろう。そしてそれは自分の過去を知ることができるレベルによる犯行だという考えに行き着いた。そしてその結論をひとまず頭の隅に置いておくことにした。今は後退して生き残らなければ、この考えを伝えることもできない。
白拍子は後退していく真紅と白銀のDAEに照準を定める。二人に突進しようとした刹那、別方向からの銃撃。当然のことのようにそれをワイヤーを振るい防御する。銃撃された先にはマグプルマサダ・アサルトライフルを構えている葵とキリカの姿があった。
「女に守られて悔しくないのかい! ヘタレの宏樹くーん! ヒィヤハハハハハハハハ!!」
「今は男女公平だ! 死ねこの変態仮面がっ!」
生身でありながらもキリカはワイヤーによる攻撃を掻い潜り白拍子に接近する。彼女の持つ天性のセンスによるものだ。マグプルマサダからショットガン・フランキスパス15に持ち替え銃撃。散弾の雨を能面に叩きつける。
それに対し、白拍子が両腕を振るいワイヤーによる防壁を作る。
だがキリカには手応えが感じられた。振り回されるワイヤーを抜けて、散弾のいくつかが白拍子に喰い込んだのを見逃さなかった。
「散弾ではなぁ!」
「食らってんじゃねえか!」
「防ぎきれなくて痛いよぉ! ンホホホホホ!!」
あのスーツの裏地はおそらく防弾繊維が仕込まれているのだろう。だがダメージが無いわけではない。
「夕夜ぁ! 散弾だ!」
キリカはトリガーを絞り続けながら声を張り上げる。夕夜は武装を交換する。両のファイアボールをホルスターに収める。
第二世代型DAEの背部には第一世代型と同じように武装保持のための二本の機械式キャリーアームが存在する。〈黒瞥〉のその背中のキャリーアームが首をもたげ、保持していたショットガン・イズマッシュサイガを夕夜の手元にまで持ってくる。
夕夜、すぐさまサイガに持ち替え発砲。ワイヤーによる防壁に大半が防がれる。だが確実に散弾は白拍子にダメージを与えていた。
「んもう! 自分がされたら嫌なことを他人にやるなってママが教わらなかったのかぃ、ハンサムボーイ!」
「生憎、俺の母親はとんだ阿婆擦れだったもんでね!」
というか顔まで奴に割れてるのかよ、という疑念が生まれるが直ぐに頭の隅に追いやる。夕夜、撃ちきったサイガのマガジンをリロード。
だがその隙を逃す白拍子ではなかった。
キリカからの散弾の銃撃をどうにか回避し被弾を最小限に抑えながら、防壁にしていたワイヤーを夕夜の方へ伸ばす。ワイヤーが触手のようにイズマッシュサイガを絡め取った。
「おっと、そいつは悪いことを訊いたね」
白拍子がワイヤーを伸ばしている右手に力を入れる。サイガに亀裂が走り、そしてバラバラに砕けた。
「気にするな。今ここで殺してやるからよ!」
砕かれグリップだけとなったサイガを手放し、夕夜は後方へ飛び退る。
散弾ならまだある。夕夜は左腕を掲げ手のひらを白拍子へ向ける。その手のひらの中央に穴が開かれ、その穴と手首にかけて直線になるように左手の位置が下がる。右手でその左腕を押さえ狙いを定める。
「ちょっと!? 何そのかっこいいの!」
驚愕する能面に向けて、夕夜が構えた左腕から銃声とともに散弾が吐き出される。完全に虚を突かれた白拍子は防御できずに吹き飛ばされた。いくつかの散弾が能面にめりこんでいた。
ショットガンアーム。数ある夕夜の戦闘用義手(バイオニックアーム)の中の一つであり、文字通り内部にショットシェルの発射機構が仕込まれているものである。
どうにか受け身を取り、能面の顔を上げる白拍子。だが立ち上がる前に、夕夜が間髪入れず追撃を狙う。
「もらったぁ!」
だが、夕夜の眼前に網膜投影によるアラートが表示され追撃の手を止めた。
白拍子の背後から一つの影が跳躍する。影は縦に回転しながら大振りのグルカナイフを振るい、夕夜に襲いかかった。
斬撃を左腕の義手で受ける夕夜。グルカの刃が左腕の中程にまで喰い込む。痛みにも近い痺れと衝撃が走る。義手に仕込まれたショットガンの発射機構が破壊されたことを肌で感じ、夕夜は苦悶する。
影は夕夜を蹴り飛ばすと、その勢いでバク転して白拍子の元まで下がった。
「ボス、ご無事ですか! 遅れて申し訳ありません!」
「宇春ちゃん、ナイスタイミングだよ〜!」
影の姿が明らかになる。白拍子の部下、宇春だった。タイトスカートのスーツを纏った浅黒い肌の女。その日本語のイントネーションには僅かに訛りがある。
「増援か!」
キリカがスパスを向ける。だがトリガーに指をかけるより速く、宇春がグルカをブーメランのように投擲した。
暴風のような音を立てながら飛来するグルカの刃を、キリカはスパスの銃身で受ける。自分の足元から殺意が湧き上がってきていることに気づいたのはその時だった。
投げつけたグルカを囮として、宇春はキリカの懐にまで急接近していた。
グルカが刺さったフランキスパスを投げ捨て、どうにか防御しようとキリカは身を捻る。だがその前に宇春の掌底が叩きこまれた。
インパクトの瞬間、キリカはわずかに後ろに飛び退っていた。そのため直撃は避けられたが、それでも土手っ腹に叩きこまれた衝撃に倒れ込む。内臓をかき乱すような衝撃をどうにか無視し、受け身を取って起き上がると同時に予備兵装(サイドアーム)のベレッタを抜き発砲する。
だが宇春はその銃撃を回避してみせた上に、その回避動作の勢いを利用しさらにスローイングナイフを投擲する。
掌底のダメージが残りその場から動けないキリカは、どうにか身を縮こませて両手両足で頭と急所を庇う。投げつけられたナイフの何本かがキリカの腕に浅く突き刺させる。
「いってぇ!」
夕夜がキリカの援護に入る。右手で一挺のファイアボールを抜き、宇春へ向けて発砲。だが、宇春はこれも回避。反撃とばかりにナイフを投擲する。
夕夜は当然のことのように投げつけられたナイフを左手で掴み取った。〈黒瞥〉のセンサーを用いなくとも手に取るように見える程度に緩く投げつけられたことに訝しむ。
突如、アラート。発生源は掴んでいるナイフからだ。
夕夜は反射的に掴んだナイフを放り投げる。だが、遠くへ放られる前にナイフが炸裂した。
マインブレード。刀身に火薬が仕込まれており、カッターナイフのように折ることで信管が起動し爆発するという武装だ。DAEに対しても有効な威力を持つ。本来であれば直接相手に突き刺して爆破するという使い方だが、宇春は予め折ってから投擲しておいたのだ。
あたりに煙幕が立ち込める。宇春が投擲したのはマインブレードの中身はスモークグレネードであった。
「しまった……!」
煙幕が周囲を包み視界が白く埋まる。
同じくDAEを装着している村木と辛島、そして美月も敵の姿を見失っていた。すぐさま四人が視覚センサーをサーモに切り替えるが、その時には既に遅かった。
夕夜の視界にアラート表示。直後、煙幕を突き破って眼前に宇春が現れる。大振りのグルカが突き迫る。刃の先は昼夜の脇の下。DAEの装甲の薄い数少ない箇所。その弱点を的確に狙った刺突を、夕夜は左手で払いのけた。
夕夜も左肩部からナイフを抜き右手で構える。視界不良の中で夕夜と宇春の斬撃がぶつかり合う。膂力では明らかにDAEを纏っている夕夜の方が勝っているが、宇春は夕夜の攻撃を受け流し、その勢いを自身の攻撃に利用している。
だが、〈紫のモビーディック〉を仕留めた村木、そして三条と千葉が援護に加わったことで宇春は次第に回避に専念することを余儀なくされた。
「そろそろまずいね……。宇春ちゃん、帰るよ!」
爆煙の中からの白拍子の声。白拍子は距離が離れている宇春の腰にワイヤーを巻き付け自分の元にまで回収する。煙の中であっても狙いは正確であり、彼女を輪切りにすることのない絶妙な加減。少しでもまかり間違えば宇春はワイヤーで切り裂かれていた。白拍子の超絶技巧によって初めて可能となる芸当である。
「三十六計何とやら! ばーいばーいきーん!!」
無事に回収した宇春を小脇に抱えると、脱兎の如く夕夜達に背を向け逃げ出した。
「逃がすか!」
まだ晴れない煙の中に突っ込む夕夜。
「よせ、深追いするな!」
辛島の鋭い声。夕夜は言われた通りに追跡を止めた。
白拍子が跳躍する。その高度はビルの三階の高度にまで到達し、さらに壁を蹴って別のビルの屋上にまで飛び上がる。
煙が晴れた時には既に、ビルの屋上から屋上へと飛び移る白拍子の背中が小さく見えるだけであった。
「な、なんだあれ……」
自分達が装着している第二世代型ならいざ知らず、生身の人間ではありえない跳躍力に夕夜は目を丸くする。
「無事か」
後ろから村木が声をかける。
「俺はなんともありません。ですが、奴を取り逃がしてしましました」
「気にするな。むしろ予想外の遭遇戦で誰もやられなかっただけで十分だ」
「……そういえば影山は?」
「あいつも無事だ」
美月は辛島と連れ立っていた。〈シンデレラアンバー〉の装甲の至る箇所に大きいダメージが見られる。特に右腕部の損害が大きかった。装甲がえぐられ、中の人工筋肉が露出し保護液が漏れ出しているところも見受けられる。ダメージを追っているところでバレットを撃ったことで、完全にお釈迦になったようで右腕は力無くだらりと垂れ下がっていた。
『影山さん自身に怪我などはありません。よかった……
第二世代型DAE四機の管制とその装着者の状況(ステータス)の監視を務める〈カラード〉による通信だ。
「無茶するなよ……」 夕夜が肩をすくめる。
「問題はこいつだ」
村木が仰向けに倒れている〈紫のモビーディック〉をつま先で指し示す。胸にバレットで大穴を穿たれたにも関わらず、起き上がり再び襲いかかってきたのだ。何かしらからくりがあるに違いない。
『こちら羽田でーす。皆お疲れ様。浜村の暗殺という当初の目標は達成されているので、白拍子を取り逃がしたことは気にしなくてよろしい。むしろ想定外の事態に対して皆よく無事に切り抜けたね。影山さんにも怪我は無いようで良かった良かった。壊れたDAEは直せば済む話だからね』
羽田からの通信が入る。白拍子と遭遇したとの報を受け、彼も司令室入りしたという。
『気になるのは千原姉妹の姉の方だね。バレットで心臓ぶち抜いたのに起き上がってきたんだって? ちょっと気になるからその〈モビーディック〉回収できない?』
「美月ぃ、スキャンしてみて何かわかる?」
キリカに言われて、美月は転がっている〈紫のモビーディック〉に視線を向ける。システムが自己判断し、スキャンモードを起動する。
途端、特大のアラートが美月の視界を埋める。信管の起動反応。
「そいつから離れてっ!」
美月の大声に反射的に躊躇なく村木は葵を、辛島はキリカを庇うように抱えて地面へと伏せる。夕夜も爆圧を防ぐように三条と千葉の前に立ちふさがった。
次の瞬間に〈紫のモビーディック〉が爆散した。
爆風とそれによる〈モビーディック〉の破片が襲いかかる。
「くそったれ、カミカゼ仕様かよ! 今時流行んねえぞ!」
〈エアバスター〉の両腕の中にいるキリカが怒声を張り上げる。
「大丈夫ですか!?」
美月が四人の元へ駆け寄る。距離を離し地に伏せていたおかげもあるが、装甲を纏っている村木と辛島は無事だった。二人に庇われたキリカと葵も見る限りは無事なようであった。トレーラーの方にいた三条と千葉もこちらに駆け寄ってきた。
「証拠隠滅だな、これは……」
三条が爆心地である〈紫のモビーディック〉だったそれを覗き込む。仰向けに倒れていた〈紫のモビーディック〉は中身ごと粉々に吹き飛んでいた。搭乗者も、そして内装も跡形も無い。
「なんてこったい。せっかくお邪魔虫のしっぽを掴めそうだったのに」
同じく〈紫のモビーディック〉の残骸を見下ろしながら、辛島が肩を落とす。
「いや、そうでもないぞ。証拠隠滅を図るということは、見られたくないものが存在したと考えられるだろ」
三条が足元に転がってきた紫色の装甲の欠片を拾い上げながら言う。
「それにしても、まるで見計らったようなタイミングで自爆しやがりましたね……」千葉が零す。
「今この瞬間も俺達を見ている奴がいるということだ」
言って、三条は手にしていた装甲の欠片を忌々しげに放った。
爆発により立ち上る煙と、人体が焼ける悪臭に皆が顔をしかめる。
自分達を、あるいはシマダ武装警備そのものを陥れようとする者が存在していることに、この場にいる者全員は言いようのない疲労感が襲った。
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