第九話 天空の城
赤松広秀の死から
「凄えな、広秀」
やがて雲海が晴れると惺窩は焼け焦げた石垣に腰掛け何をするでもなく片膝を立て城下を眺めていた。収穫を終えた田の畦で童達が何やら楽し気に遊んでいる。
神無月おもふも悲し夕霜の
置くや剣の束の間の身を
惺窩は広秀を偲び
陽が西に傾き空は
逢魔が刻、手にする獅子王が幽かに震えると堅牢な石垣の陰から鵺が巨躯を
その姿は衰弱した体を引きずり自制を保つべく何かに抗っているように見える。突如、鵺は絞り出すように
「…っ!」
惺窩は鵺に近付き赤い面に手を伸ばすとそれは訳もなく外れ、その下から惺窩の顔を写す古い鏡が現れた。面の裏には陰陽道 九字之印が刻まれている。
「そういうことか。お前はわいら人の業を写す鏡やな? 鏡と剣そんで赤松の巴て、ちょっと洒落がきついんちゃいますか?道満法師」
惺窩は獅子王の太刀を抜き放つと青白く光る
「もう分かったから音無しいせえ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます