第17話  サイコパストモ機関銃

「いやーいい汗かいた」

「くそ!あと少しだったのにーずるいよトモ氏ー。あ、飲み物飲む」

「おお!気が利くなーサンキュー」


トモとぬいぐるみ使いはすっかり打ち解けていた。

熱いレースの後はこうして友情をたたえ合う。素晴らしきかな。


「ところでお前名前はなんていうんだ。ナレーションじゃお前の事ぬいぐるみ使いしかいってなくてわからねえよ」


そう言うとぬいぐるみ使いは自信満々に立ち上がった。


「よくぞ聞いてくれました。ボクの名前は!名前はぁーーーーーー」


っとついに名前が判明しそうになった時!


「おっぉぉぉぉそい!」


突如天井が開き二人の間に隕石の如く何かが降ってきた!

突然のことにトモとぬいぐるみ使いは交互に吹っ飛ばされてしまう。黙々と煙が立ち込め視界が悪くなった。


「いててぇ一体何がまだ名前を名乗ってないのに」

「何気楽な事いってん!このスカタン」


ぬいぐるみ使いは視界が悪い煙の中で何者かに文句を言われながら捕まれた。


「あ、お前は」


しかしぬいぐるみ使いはこの人物を知っているみたいだ。


「あ、お前はじゃないよ。いつまで待たせるんだよ。下で物音したからもうすぐ来るかなって真面目にスタンバって音が止んだからもうすぐかと思ってたけど全然来なくてもしかしてあいつやられたんかと思ってチラッと覗いたら何仲良く打ち解けてん!」

「なるほどあれはツッコミだったのかー」


なるほど同じ四天王でずっと上で待っていた人なんだね。


「まぁまぁ落ち着けよ。別に決着つけないなんて言ってないだろ」


ぬいぐるみ使いは上から降りてきた仲間の肩を叩きなだめた。


「トモ氏とはこれから決着つけるのさ。なんせここは僕のぬいぐるみの巣窟だからね。僕が命令すればすぐに袋叩きさ」


そう言いながら金色に光るぬいぐるみの手を掴んだ。


「スタッフゴット、ぬいぐるみを着ようが着まいが関係ないこの煙から出た瞬間が最後さ」


さぁトモ早速ピンチだぞ!煙が命の生命線状態だ!すると先程トモが着用していたシマウマのぬいぐるみが煙から飛び出した。


「出たなトモ氏!悪いが決着つけるよ!いけ!僕のぬいぐるみ軍団!奴を血祭りにあげろ!…でも殺すなよ」


ぬいぐるみ使いは持っていたぬいぐるみの手をシマウマのぬいぐるみに向けた!すると回りを取り囲んでいたぬいぐるみ達が物々しい武器を手に持ち一斉にシマウマに襲い掛かった!


「うぎゃーーーー!」


断末魔と共にシマウマはリンチされる!ボコボコにされる!いじめられる!ある程度ボコボコにするとシマウマは動かなくなった。それを認識してぬいぐるみもガクリと動きが止まった。どうやらシマウマはやられたようだ。


「おーおー、お前のぬいぐるみ中々強いな」


するとトモが気楽そうにぬいぐるみ使いに声をかけた。


「あれ、トモ氏。やられたはずじゃぁ」

「見てみろよ」


トモは指さした先。そこは動かなくなったシマウマのぬいぐるみ。ボコンとぬいぐるみの首が取れるとさっき上から降りてきた四天王の1人が白目になって気絶していた。


「煙に紛れて無理やりこいつを詰め込んでやった。俺にビビッて煙に出たらあんな感じだ」

「あーなるほど。あいつ大人しくしてればよかったのに」


哀れ上から来た四天王君。


「あっそれとこいつの言う通りお前とは決着つけないとな」

「えっ!ぼ、僕今ので能力MP全部使っちゃったよ」

「よくわかんねえが、どうやら丸腰見てえだな!ちょうどいいや」


トモは邪悪な顔を浮かべるとぬいぐるみ使いの肩を掴んだ。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


数分後、まわりにあったぬいぐるみは積み重なって倒れそこの間にボロ雑巾のようにボコボコにされたぬいぐるみ使いが横たわっていた。


「トモ氏…君と会えてよかった…」


最後の意地で相手に敬意を表し…トモに敬意なんていらないが


「おう、お前も達者でなー」


トモは罪悪感などなく、慣れた様子で上機嫌に次の階段を目指した。


「よし、やっと後一人だな。さっさと次の奴をぶっ飛ばしてあのいけすかねえ奴をボコボコにすっか」


もう勝った気でいるトモ。本当にそれで大丈夫そうやって油断してると足元すくわれるよ。


「大丈夫大丈夫。あいつら本当にたいしたことねえから」


トモは意気揚々で階段を上り次のフロアへ!

っと登り切った瞬間。ピシュンっと物凄い速さで何かがトモの頬を通りぬけた。

トモは咄嗟に壁に背を当てながら驚く、先ほどかすめた頬から血が流れた。


「っちギリギリ殺気を感じてかわしたか。勘のいい奴め」


声を共に現れたのは、眼鏡をかけてた少年。手には銃をもって…銃!


「そう僕は下の奴らと違い馬鹿みたいにメルヘンチックな二次元野郎と違う、こうした獲物を使い敵を確実に殺す」


そう言うと銃を再びトモに向け躊躇なく二回撃った!バキュン!バキュン!耳がキーンとなるほどの銃声がなり響く。


「どああああ!」


トモは慌ててその場から離れると相手から見えない壁に隠れた。


「っちねずみのように隠れましたか。だが少しでも顔を覗かせたら…」


トモがチラリと壁から顔を出すと同時にトモの顔のすぐ近くの壁に穴が空いた。


「あの世行さ」


トモはすぐ顔を引っ込めた。今までと違う割とガチの相手


「てめえ!そんな物騒なのに当たったら死んじまうだろ!何考えてんだ」


トモが文句を言うと銃をぶっ放した眼鏡をかけた少年はくいッと眼鏡を上げた。


「馬鹿か君は、現実で銃を持っている時点アウトかもしれないがここは異世界だよ。法も何も適応されない敵を殺してもお咎めなしさ」

「あいつインテリぶってるがとんでもなくやべえ野郎だな」


トモもドン引きするほどのやべエ奴。


「にしても、どうすっか。俺あんまり銃に詳しくないから残り弾数とかわかんねえし、仕方ねえここにいても拉致があかねえ動き回ってチャンス弾切れを狙うか」


意を決してトモは壁から飛び出した。その瞬間、ズガガガガっと容赦なく銃弾が発射される!


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」


飛び交う銃弾の中を気合で次の物陰まで全力疾走していく!


「すばしっこい奴」


トモの速さについて行けないのか弾はトモが過ぎ去った後に通り抜けていく。


「おら!セーフ!」


次の中央の柱に隠れ眼鏡男に少し近づいた。


「っち。奴めうまいこと商品棚が近い所に逃げおおせましたね。あそこの近くには防弾チョッキがあるはず」


お気づきの人はいるかも知らないがこの塔の階層はここの四天王の趣味の物がおかれている。


「あそこの奥の棚にあるいかにもって奴はまさか防弾チョッキって奴か。あれを着れば少しは何とかなるはずだ」


トモも防弾チョッキの存在に気が付いた!


「よっしゃ!あそこまでダッシュだ!」


トモは再び全力疾走!


「やらせませんよぉ!」


そして再び銃弾が襲い掛かる!しかし当たらない!


「へへ。どうやらゲームでは腕がいいかもしれねえが実戦はたしたことねえみたいだな。これならいけそうだ」


銃を持っている相手にそう言えるトモの精神力は異常。眼鏡男はため息をついた。


「仕方ないですね。こんな奴にこれを使いたくなかった」


よいしょと軽い感じで重々しい物を引き引きずりだした。


「よし、あいつ何かやってるな。今のうちに」


そういいトモは柱から少し出た瞬間。


ズガガガガガガガ耳を抑えるほどとんでもない音が鳴り響くと同時にトモのすぐ前の棚が木端微塵に砕け散った。


「っち外しましたか。やっぱりこれは狙いが付きにくいなー」

「……」


啞然とした顔でトモは眼鏡男に目を向けると、どこから取り出したのかなんとその男はあろうことか機関銃を容赦なくぶっ放したわけで

トモは素早く柱の陰に隠れた。


「ばっかやろう!お前何考えてんだ!あんなもんに当たったらさっきの棚のように木端微塵じゃねえか」

「ふーやれやれ、確かに粉々になった死体を片付けるのは大変ですねー」

「そっちの心配かよ!マジで俺がまだ可愛く見えるほどの社会不適合だな!」


トモ君自分が社会不適合者という自覚あったんだ。

眼鏡男はフヒヒと笑った。


「そんなことないですよ。僕はケモ耳奴隷を集めていつか自分の軍隊を持つ予定ですからね」

「流石に奴隷もてめえについてこねえよ」

「はっDQNは大人しく死になさーい」


ドガガガ!容赦なく機関銃の弾を柱にぶっ放す眼鏡男!柱には大量の穴が空き角からドンドン削られ始めた!


「やっろう!」


ただただ隠れるしかないトモ!果たしてこのピンチを抜け出せるのか!

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不良トモ異世界 fuyu @natufuyu

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