第3話

バイト先で店長に頬の椛を笑われた。

余りにも情けなくてこうなったらいっそヤケだと普段の倍の缶ビールを買って家路に着く。

途中、角を曲がって消えた人影があまりにも彼女に似ていて、呑まずに酔うなんて随分と馬鹿げた頭をしてるなと自嘲するしかなかった。ボロボロの階段を登る足取りはいつもより重くて、街灯の明かりには蛾が集っていた。

ポケットから鍵を取り出して、

ドアノブにかかる紙袋に解錠する直前に気づいた。中には湿布とメモ書きが1つ。

「昨日は言い過ぎた、ごめん。」

見慣れた癖っ気の強い文字列。頬が濡れた。

おめでたいなと笑われたって良かった、このたった1行に救われてしまったから。

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いつから大人だったろう。 真文 紗天 @shaten

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