第2話
ごめんねの言葉はいつから声に出せなくなったのだろう。アイツの部屋は安アパートの2階でセキュリティなんて大層なものは全くない。昨日のことを思い出すとやりすぎてしまったと後悔する気持ちときっとまだ嫌われてはいないはずだなんて根拠のない信頼と不安がぐるぐると回るから。
だからそう。
だから、こんなところまで足を運んでしまったのだ。
カメラのない安っぽいインターホンを鳴らしてそのまま足早に階段を駆け下りて、まるで逃げるようにその場を去って。
ああ、自分はこんなにも女々しかっただろうか。
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