第14話
結局この日は時間が遅いという事で沖村に学校を案内するのをやめ、今一人で帰路についていた
まさか自分がそんな複雑な事情を持った、しかも女子に頼み事されるなんて夢にも思わなかった
中学校では共学だが、ほぼ男子校みたいな所で過ごしていたから頼み事なんてものはそうそうなかった
まぁやるって言ったからには沖村をしっかりサポートしないといけないな
それこそ俺が放棄してしまえばやる人など誰も居なくなってしまう
それは誰にも言ってないため、当然の事だが...
それにしても朝も思ったが、やたらと視線を感じるんだが...
別に見られただけで何か影響する事はないが、見られると気になるというのはしょうがないだろ
しかもその視線が、じっとり、粘りつくような視線に感じて、どうしても気になってしまう
辺りを見回してもいるのは仕事帰りのおじさんや家に帰っている中高生が数人で皆それぞれ俺を気にも止めずに歩いている
やっぱり気のせいか
俺はそう決めつけ、帰路に向かった
「ただいま〜恵梨〜!」
そう声をかけると扉の向こうから恵梨の向かってくる足音が聞こえてくる
「おかえりー!お兄ちゃん!
今日ねー!私、部活の先生の呼ばれたの!
ねえ!その内容なんだと思う?」
相変わらずテンションは高く、学校の俺なら普段はそのままの気分でいくが、どうしても妹相手だと可愛く思えて仕方がなくなってしまう
あっ、別にシスコンとかじゃないんだからね!
...慣れないことはするもんじゃないな
「あれか、部活の先生に成績悪すぎて怒られたか!」
「そんなことないもん!テストの期間じゃないと先生怒らないしっ!」
「てことは怒られた事はあるんだな」
「そ、それは...
そ、そんな事より!」
あっ、はぐらかしたな(笑)
「私!今度の試合でレギュラーで出れるようになったんだよ!
ウチの学校強いから二年でもベンチ入れるの少しだけなんだよ!
どう?すごいでしょ!」
「そうだなぁ、偉いぞ、恵梨」
胸を張る恵梨がなんだか可愛く思えて俺は恵梨の頭をなでなでしていた
「えへっ、えへへへ、お兄ちゃ〜ん」
か、可愛すぎる!まさかウチの妹がこんなに可愛いなんて...
この笑顔は今後他の男に向けられるんだろうな...
やっぱシスコンと思われても守ってみれる!
「じゃあお兄ちゃん、今日は先にお風呂入ってきて!制服とか鞄とかは私が持っていっとくから!」
「悪いな、じゃあ甘えちゃおっかな〜」
我が妹ながら気配りの出来る良い妹である
お兄ちゃん思いの妹に育って、お兄ちゃん嬉しいなぁ〜
やっぱりお兄ちゃんから女の人の匂いがする!
それも姫路佳奈じゃない別の匂い!
せっかく今日もお兄ちゃんでしようと思ったのに他の女の匂いがついてるせいでイライラしてきた
やっぱりお兄ちゃんに盗聴器とかつけた方がいい?
でもお兄ちゃんと結婚する資金を崩すのは痛い...
仕方ない...
私はお兄ちゃんが入っているお風呂場の洗面所に入って行き、
「お兄ちゃん、今日は私が洗濯物干すね〜!」
「ありがとう〜、恵梨〜」
という口実を使い風呂場からポロシャツとパンツを拝借する
スンスン、ハァ〜ハァ〜
アァーン♡
お兄ちゃんの匂いがよりこびりついていて、制服の匂いで軽くイクつもりが手が止まらなくなっちゃった♡
ハァハァ、お兄ちゃん大好きだよ♡
学園ラブコメに俺は翻弄されます 小森 秋水 @chikohaya
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