瓦版異聞
安良巻祐介
大蝗坂で死体が見つかったというので、真夜中だというのにもの好きな連中の何人かが下駄や草履を引っかけて押っ取り刀で駆けつけたけれども、人間のようで人間でない姿に、背丈も常人の三倍はあったというその奇っ怪な骸は、祠に祭られ坂を守護する影食い蝗神の餌食になってしまったらしく、何か異様なものがそこにあったという気配の他、わずかな骨の欠片と恐ろしく大きな脚絆が、さびしい電燈の照らす黄色い光の下に残されていたに過ぎなかったそうである。
瓦版異聞 安良巻祐介 @aramaki88
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