エピローグ

少女の部屋

 今日も私は星に手を伸ばす、相変わらず届かない綺麗な星たち……でもこの部屋には星がある。綺麗な4つの星が。

 白銀の少女は両腕に4つの虚ろな人形を抱え笑顔で星空を見上げていると静かなノックの後、男が部屋に入ってきた。


「やあアリサ、今日も星を見ているのかい?」

「そうなの、どうしても星が掴めなくて……」

 一瞬、少女はうつむくが4つの人形を見るとすぐに笑顔が戻った。

「でも大丈夫、このたちがいるもの。」

 男は少女が抱える人形を見つめた。


 希望を失った少女

 栄光を失った女

 自分という存在を見失った少女

 生きる意味を失った女


 光を失った星屑を少女は大事そうに抱えている。


「パパ、またみんなを迎えに行きたいわ。まだ空にはこんなに星が輝いているもの。」

 少女は無垢な笑顔で星空を見つめ手を伸ばす。

「早く会いたいわ。」

 その手の先で輝く星はいずれ光を失う。途方もなく長い年月といえど永遠に輝いている星などないのだから……。男はただ、星の声を聞き迎えに行く。この部屋では—アリサにはその輝きを永遠に出来るのだ。


「アリサ、そのうち全ての星を掴めるさ。またみんなで迎えに行こう。」


 その言葉と共に星空と人形を交互に見つめ、少女の顔は晴れやかになる。


「ええ、約束よパパ。」

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星屑の物語 カフェオレ @cafe443

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