石化した巨人の内部で生まれ育った主人公は、「外」の世界を知りませんでした。
だから恋い焦がれた。「外」の世界を見てみたいと。
詩的な表現が印象的なこの物語は、舞台も独特です。
主人公は石化巨人の中で生きる定めを背負っています。しかしある日、ひょんな出会いで「外」の世界を見たいと思い始める。
短編ながら濃密なテーマが凝縮されているように思えました。
運命とは、定めとは――私たちが生きるこの世界も、極論を言えば、誰しもが見えないレールに沿って歩いているのではないか。
レールをはみ出すことには勇気がいる。そして、一度はみ出したレールに戻ることも、より一層の覚悟が必要。
ストレスを感じず、自分の直感を信じて生きることが出来れば幸せなのですが、そうもいなかい。雄大でロマン溢れるファンタジーな舞台でありながら、現実世界にも通じる理念もあるように思えました。
皆様もぜひお読みになられてくださいね。