第10話【アルティナ視点4】
アルティア視点
それからは何事もなくドルンドに着くことが出来た。
ここに着くまでの間、護衛の人が亡くなってしまって少し沈んでいた私にトウマ様は何度も優しい言葉をかけてくれました。
トウマ様は身分証を持っていないとの事だったので私が身分を保証しするので彼も中に入れますよと言う趣旨を護衛の人ずてに門番に話してもらい無事中に入ることが出来た。
本当は身分証を持ってない人が街に入るためには犯罪履歴がないかのチェックなど多くのことをしなければ行けないが私の名前を出したの今回は全部無しです。
まあ、私は公爵令嬢なので当たり前ですね。
「トウマ様、亡骸のこともありますのでこのまま私達の泊まる予定の宿まで来てもらえないですか?」
と言うお願いを了承してもらい宿まで一緒に行ってくれることになった。
宿につき亡骸の受け渡しのための準備をしてもらっている間、私とトウマ様はなかで待っていることにした。
部屋に入ったトウマ様は周りをキョロキョロを見渡すと「うわぁー、凄いな。どれも高そうなものばかりだ」という言葉と言動に初めて王都に来た子供みたいな反応だと思ってしまい自然に笑い声が出てしまった。まあ、ここは貴族限定の宿屋なので仕方ないことなのかもしれないのだけど。
「あ、ごめんなさい。
少し可愛いと思ってしまったもので」
恥ずかしそうにしながら顔を赤くするトウマ様に慌てて謝る。
その言葉にトウマ様はより一層顔が赤くなる。
本当に可愛い人だと思った。
そのあとも私が亡骸を運んでもらったことのお礼をしたいと持ちかけても街に入れるように融通してもらっただけで十分だと断るほどのお人好しさに優しい人だと思うと同時に少し危ない人だと思った。
危ないと言っても警戒しないといけない人物であるとかそういうことではなく、この人の良さにつけ込む悪い人達が多く出るのではないかという不安の意味での少し危ない人という意味だ。
「それでは私が納得出来ません。
街へ案内することは街の場所がわかっている人なら誰にでも出来ますし、街に入れるようにしたのだって多少の地位や信用があれば出来ます。
それに比べてトウマ様が私にしてくださったことは大きすぎます。
トウマ様がいち早く盗賊の接近に気づいてくれなかったらもっと多くの被害が出ていたでしょうし私も死んでいたかもしれません。
それにトウマ様がいなければ亡骸を運ぶことも出来ませんでした。
どちらの方が助かっているかなど一目瞭然ではないですか」
私は自分が公爵令嬢であるなどを置いておくとしても何もお返ししないのはダメだと思い、少し強めに反論する。
その反論に折れたのかトウマ様は「それでは一つお願いがあります」と言った。
さあ、何でも来てください!
お金ですか?
地位ですか?
そ、それとも、も、もしかして私とか!?
そんなことを考え少し身構えていると「私が困っている時にいの一番に助けに来てください」とトウマ様がとても優しい笑顔で私に言った。
「え?」
私はトウマ様の斜め上の答えに素っ頓狂な声が出てしまった。
恥ずかしい!
トウマ様の前なのに!
嫌われたりしないかしら!?
そんなこと考えている私とは裏腹にトウマ様が言葉を続ける。
「俺は、自分で言うのはなんですが剣の心得はあるのでレベルさえ上げれば結構強くなれるでしょう。
しかし、私はどれだけ強くなっても所詮は平民です。
貴族の圧倒などに潰されてしまう可能性は有り得る 話しだと思います。
なのでそうなった時、助けに来てください。
それが俺の頼みです」
かっこいい。
それがこの言葉を聞いた時の最初の感想だった。
「はい、わかりました。
トウマ様が困った時必ず私が助けに行きます」
私はトウマ様の目を真っ直ぐに見て言った。
その後に返ったきたトウマ様の「はい、頼りにしていますね」という言葉についつい笑みが零れてしまう。
ああ、誰かに頼られるっていうのはこんなにも嬉しいものだったのですね。
今までも、私の権力を頼りにしてきた輩は沢山いたがこんなに心を動かされたのは始めてだ。
コンコン
ちょうど話しが終わったところで部屋にノックの音が響く。
「はい」
「お嬢様、準備が整いました」
どうやら亡骸を置く場所が出来たので呼びに来てくれたようだ。
「トウマ様、それではお願いします」
私は、顔を引きしめトウマ様にお願いする。
「はい、わかりました」
それからは呼びに来てくれた人の指示に従い、トウマ様は亡骸を置いてくれる。
「それでは用事も済みましたので、自分はこれで」
「はい、ありがとうございました」
「それでは」
このままトウマ様を行かせていいものか何か最後に言った方がいいのではないか。そんなことが私の頭の中でグルグルと回る。
「あ、トウマ様!
少し待ってください」
私はとりあえずこのまま行かせては行けないと思い声をかける。
「はい、なんですか?」
トウマ様は足を止め振り返る。
えっと!何か!何かなかったかしら!
私は頭をフル回転させながら考える。
あ、あ!!
そして、私は自分の指にハマっている指輪のことを思い出し、それを取りトウマ様に渡す。
「お嬢様!」
メイドの驚いた声が聞こえたが無視をする。
「あのこれは?」
トウマ様がとても戸惑った表情で聞いてくる。
指輪に付いている宝石にはボワラクテ家紋が浮かんでいるので、とても大切なものなのではないかと思ったのだろう。
「あなたが本当に困った時この指輪をある程度身分のある人に見せてください。
必ず力になってくれるでしょう」
私はトウマ様に返すと言われないように出来るだけ真剣な顔で言う。
その私の真剣な顔に根負けしたのかトウマ様は素直に受け取ってくれた。
「それではまた会いましょう」
「はい、その時を楽しみにしています」
そう言ってトウマ様は去っていった。
魔法も使えなく身体能力も高くない人族だけがレベルという概念がある 栗音 @snarou
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