最終話 アライさん
女王「グオオオォォォォォ!!!!!!!」
ミミ「来るですよ…」
女王「貴様らは 一分たりとも この場に いることは かなわぬ」
フェネック「うっ!この空気は」
オイナリサマ「はあぁっ!」
オイナリサマは結界を張る。
オイナリサマ「(もう力を使い果たしても構わない…)みんな、この中へ!」
セーバル「セーバルが、戦う」
アライさん「アライさんもつきあうのだ!」
アムトラ「ボクたちだって!」
アライさん「アムトラ、みんな、そこでゆっくりと見物しているといいのだ」
ミミ「大層な自信ですね。もう根拠を求めるのも野暮というものでしょう。アライグマ、いやアライさん。勝ってみせるのです」
アライさん「もとより負けるつもりなどないのだ!」
セーバル「(みんな…力を)」
セーバルの頭部の翼がより一層大きくなる。そして、飛び立った。
女王がセルリウム噴き出した。セーバルをそれをかわし、光線を放った。サンドスターの光を集束させた「けもビーム」だ。
女王に命中する。しかし、
セーバル「(あまり効いていない…女王、やはり強大過ぎる)」
アライさん「おぉ!それかっこいいのだ!アライさんもやりたいのだ!」
セーバル「がんばれば…出る」
女王はその巨体から伸びる無数の触手を振り回す。四方八方からセルリウムが噴出される。
セーバルとアライさんはそれをかわしながら、セーバルがけもビームを放つ。
女王の攻撃が時折、オイナリサマの結界に命中する。
オイナリサマ「……ぐっ!なんの!!」
アライさん「アライさんもやっていみるのだ。とりゃー!」
アライさんの手からサンドスターの光がポンッと噴き出す。
アライさん「むー、やっぱりにわか仕込みではダメなのだ。アライさんはアライさんにできることをするのだ」
セーバル「それがいいと思う」
セーバルが女王の周囲を舞いながら応じる。
女王「くだらぬ。終わりだ」
女王の触手がアライさんめがけて振り下ろされた。
「アライさん!」
セーバル「…!アライさん!」
フェネック「アライさんが…アライさんが…ペチャンコだよー…」
そのとき、女王の触手がドロリと溶けた。その場所に全身からサンドスターの光を放っているアライさんがいた。
オイナリサマ「アライさん!」
アライさん「オイナリサマ、心配そうな顔をしなくても大丈夫なのだ。アライさんこの程度でどうかなってしまったりしないのだ」
アライさんは飛びあがった。
アライさん「アライさんパーンチ!」
アライさんがそう叫んだ瞬間、女王は触手の何本かを失っていた。その場所にセーバルがけもビームを撃ち込む。
ミミ「ほう、この私が動きを追えないとはやるですね」
次の瞬間、ミミたちの目の前にアライさんが立っていた。
フェネック「やー、アライさんすごいねー。でも技名が地味だよ?」
アライさん「ふっふーん、アライさんは気づいてしまったのだ。アライさんはアライさんというだけで十分にすごいので、余計な飾りなどいらないということに」
ミミ「アホなのです。処置なしなのです。底なしのアホは無敵なのです。無敵のフレンズなのです」
アライさん「助手が教えてくれたのだ!助手は助手というだけですごいのだ!」
ミミ「言ってくれるですね、さっさと女王を片付けるですよ」
アライさん「まかせるのだ!アライさん分身!」
アライさんの姿が複数現れた。
ミミ「なんですかあれは!アライさんをつければ何でもアリだと思ったら大間違いですよ!」
オイナリサマ「いや!あれはサンドスターの幻影…私の姿と同じものです!」
女王のセルリウムがアライさんに向けて発射される。
アライさん「うわわっ!全然だまされないのだ。疲れるだけだからやめるのだ!」
セーバル「アライさん、まじめにやって」
アライさん「アライさん大まじめなのだ!アライさんキーック!」
アライさんの
女王「この クソバエ 共が!」
ミミ「それを言ってしまったら、お前がクソになってしまうのです」
アライさんは低く体を構えた。
アライさん「ア ラ イ さ ー ん !! タ ッ ク ル !!!」
アライさんのタックルが女王のひときわ大きい目を打ち砕いた。勢いあまって転がるアライさん。
アライさん「ぶべっ」
女王が大きく体勢を崩す。
セーバル「セ ー バ ル … !! け も 波 動 ビ ー ム !!!」
セーバルの
セーバル「女王…セーバルは、あなたの声をずっと聞いていた。でも…今は…おやすみ…」
巨体に無数のひび割れが生じ、その場所からも虹色の光が漏れだす。
女王の体が鈍い音を立てて崩れ始め、その自重をを支えきれなくなった。
そして、
「パ ッ カ ー ン」
砕け散った。そして、サンドスターは宮殿の天井を破って昇っていった。
アライさん「…勝ったのだ?」
セーバル「うん…ううん。引き分け」
アライさん「引き分け?」
セーバル「この星ある限り女王は絶対に倒せない…フレンズいる限りセルリアンは滅びない…それと同じ」
アライさん「そう…そうなのだ」
セーバル「…でも復活を防ぐことはできると思う」
フェネック「アライさーん!やったね!」
アライさん「フェネック!みんな!」
そのとき、フェネックが固まる。フェネックだけではない、他のフレンズたちもだ。
フェネック「アライさん…アライさんが透けてる。セーバルも…」
オイナリサマ「アライさんもセーバルも…もう限界のようです…私も…」
フェネック「そんな!オイナリサマなんとかしてよ!神様なんでしょ!」
アライさん「フェネック…」
オイナリサマ「……ごめんなさいね、フェネック」
フェネック「そんな、せっかくアライさんに会えたのに。こんな…嫌だよ」
アライさん「フェネック、心配しなくても、きっとまた会えるのだ!」
サーバル「セーバル…」
セーバル「アライさんの言う通りだよ。セーバルもいつかきっと、またみんなとトモダチになれる」
アムトラ「アライさん…セーバル…アライさん…」
ミミ「ううっ、ううっ」
オイナリサマ「アライさん…セーバル…共にまいりましょう」
フェネック「アライさーん!!!」
フェネックは見た。アライさんの周囲にたくさんのフレンズたちの影を。
そこにアライさんは確かにいた。しかし、アライさんはどのような「けもの」にも見えた。
突然激しいゆれがフェネックたちを襲った。
サーバル「地震!?」
ミミ「…いや、宮殿が崩れるのです」
オイナリサマ「(みんな、すぐ逃げるのです)」
フェネック「…」
アライさん「(フェネック逃げるのだ…こんなところで終わったらアライさん怒るのだ」
セーバル「(サーバル、みんな)」
ミミがフェネックを抱えて飛び立った。
サーバルとアムトラも出口を目指して駆け出した。
四人はけものキャッスルの外へ飛び出した。
けものキャッスルが激しい土煙とともに崩れ始めた。
そのほこりが風に飛ばされて視界が開けたとき、四人は目にした。
がれきの周囲には見わたす限りの美しい草原や森林が広がっていた。
「…これは」
そのすぐそばで、地面に開いた穴ぼこでもがくフレンズがいた。
「うわーっ!真っ暗なのだ!やっぱり怖いのだ!!フェネックーっ!助けるのだー!アライさんの危機なのだー!!」
フェネックがすぐさま飛びつき、オイナリサマと一緒に引っ張り出す。
アライさん「ぺっぺっ。口の中がジャリジャリするのだ……ん、なんだフェネックも来てしまったのか。アライさん怒るのだ」
フェネック「アライさん!」
フェネックはアライさんに抱きついた。
ミミ「オ、オイナリサマ?それにセーバルも」
オイナリサマ「!!この体は………アライさん、セーバル。どうやらわたしたちにはまだ時間があるようですね」
サーバル「セーバルも、みんな、みんな無事なんだね!」
セーバルはうなづいた。セーバルの頭の翼は小さく、もはやサーバルの耳と大差なかった。
アムトラ「すごい…まるでピカピカの雨だよ」
セーバル「これは…女王のかけら…」
空からいつ尽きるともしれないサンドスターが降り注いでいる。
アライさん「アライさん、とってもうれしいのだ!」
☆おわり☆
けもフレΩ 荒熊スカル @skull_arakuma
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
【けもフレ】小ネタシリーズ/荒熊スカル
★0 二次創作:けものフレンズ 連載中 5話
けものフレンズ恋愛短編集/気分屋
★111 二次創作:けものフレンズ 連載中 13話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます