聖火の保存と利用
あかな
オリンピックが終わっても。
いよいよ東京オリンピックの開幕の年。アスリートを自認する方々には特別の感慨があるでしょうが、普段は興味が無いよと言う人でもこの時ばかりは違ったりしますよね。
そんな本番前にあるのが聖火リレー。
ギリシャの神殿跡で採火され、日本中を駆け抜けます。
聖火台に点火される瞬間はオリンピック最初のクライマックス!趣向を凝らした演出は見ごたえがありますね。目に楽しい。
そして最後は閉幕式。聖火の消灯の瞬間は、なぜかしらしめやかな気分になりますね。
オリンピックの開催を盛り上げる役目を果たす聖火ですが、果たしてそれだけで終わらせてよいモノでしょうか?
それでは『もったいない』と考えるのは私だけでしょうか。
そもそも合理性を追求するのが昨今の風潮です。それにのっとれば『遠くギリシャから運ぶなんて面倒な事しなくても、開催国で採火する事だって出来るだろう。採火の方法は極秘でも何でもないし、火の神は世界中に祀られているのだし(日本では天照大御神が有名ですね)。なによりその方が費用だってかからないし』となるでしょう?
でもそうはならない。それでは意味がない。
ギリシャで灯された火だからこそ、
オリンピックの歴史、その出発点である場所で灯された火だからこそ象徴になる……。
これは合理性とは真逆の考え方です。
「わざわざ」アテネのヘラ(火の女神の神殿跡)で灯され、運ばれてくる聖火は、ただ
オリンピックの『象徴』と言うだけではもったいない代物ではないでしょうか。
せっかくの機会とオリンピック史を読んでみると「えっ」や「へ~」と声が漏れるところが幾つも在りました。
そのなかでも。
上記の『もったいない』に繋がる(関係する)ハナシとしてこれと思ったのは。
聖火リレーの始まりがあのヒトラー主導によるものだった事。
実際に発案したのはとある科学者で、
リレーのアイディアがヒトラーの独善的思想にかなったものだったので採用され、その後もオリンピックの一部として行われるようになったと。
これは驚くと同時に不思議でもありました。
なぜ悪名高きヒトラーが導入した聖火リレーは今日まで続いているのか?
ヒトラーの行いは当時の多くの国々で問題視されていたはずで、だからこそ連合が成立したわけで、ナチスの崩壊後にその影響(痕跡)をすべて消そうという動きが――この場合聖火リレーの廃止です――あってもおかしくないはずだと思うんだけど?
しかしそうはならず、むしろ各国それぞれ趣向を凝らした聖火リレーを行っていますね。
この辺りの事情は検索しても出てきません。正確に説明出来る人は歴史を専門にする方々でしょうか?
しかしオリンピック史を読んでいると他にもいそうな……政治・経済専門の人とか……
『オリンピックはスポーツのお祭り』で『選手にとっての勝負時』としてしか認識していなかったのですが。
『国にとっても一大事』で政治家と言われる人達にとっても『一生一度の一大事業』なんですね。
関連ニュースを見ていてもピンと来なかった事が歴史に触れて初めてわかりました。
聖火リレーは各国が積極的に取り入れるに値するアイディアだったんですよね。
ヒトラーの行いは行いとして。
……人間性が伴っていれば選手とは別に偉人としてオリンピック史に名を残したんだろうと思うとすごく残念な人です。
ここで話が『もったいない』に戻ります。
ヒトラーを真似するようで少々(結構)居心地が悪いですが。
しかしオリンピックが『選手だけのモノではない』ならもっと様々な業界の人々の好機になっても良いはずです。
可能性を模索、検討する事は無駄ではないと。
聖火が開催国から採火されたオリンピアへ『還った』事はまだありませんよね?
『還る』機会があればの話ですけれども、そうなったら…それは国と国との新しい交流に成ったりしないでしょうか?
しかし。
実際に聖火を保存するとなれば、数多くの課題が出てきます。
聖火台を何処に設置するか?
管理責任者はどう選ぶか?
団体に委託するのか?
維持費用は誰が出すのか?
沖縄の首里城が焼失した事件は、多くの人の記憶に新しい出来事です。『聖火』と言う名の『火種』を近隣の住民は受け入れてくれるでしょうか?
消防法をクリアする建物を選んだとしても、
選ばれた所有者は良しとするでしょうか?
励みになると言っても全ての人にとってではなく、現実に『何か』起こってしまった場合、被害を受けるのは近隣に住む人々です。
思い付くだけならばいくらでも出来ますが。
それでもここに思い付きをさらしてみたのは、母の『前回のオリンピックの聖火が在ると聞いたとき嬉しかった』との言葉で、昔を偲ぶ物があるのは悪いことではないのだと感じたからです。既に消えてしまっている事を『残念だ』とも言っていました。
実現可能かどうか?検討してくれるかた求む!
聖火の保存と利用 あかな @koubai_1024
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。聖火の保存と利用の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます