冬 5
「そんなことは嘘だ。現在の自分をよく考えて見ろ。今のお前に、一体何があるというのだ。この先、何を期待できると言うのか。彼女はお前にとって、全存在だったのだろう。だったら彼女を失った今、お前は義務を果たすべきだ。お前はそれほど純真だった。それなのに、今になって命が惜しくなったのか」
水はどんどん満ちて来て、胸元まで上がって来た。
全身がしびれるように痛かったが、彼は動こうとしなかった。
彼がある一つの名前を口にした時、水は完全に彼をおおった。
終わり。
青春の四季 ミッソー @mittsoo
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