6月20日(木)
翌日。「良い子」はもう、どこにもいなかった。
クラス中の「頼み事」を全て放棄し、文化祭をサボる宣言を声高々に掲げ、机事件の主犯格である女子達にビンタをかまし、放課後は美術部で絵を描く、天邪鬼がそこにいた。
あの夜、淳子の家に向かうと彼女は紐を持って立ち尽くしていた。
僕はとにかく後ろから抱きしめ、無言のまましばらく離さなかった。
ここでは言えないような事も、ちょっぴりだけ行い、恥ずかしい言葉も言った。
そして、お互いもう嘘はつかないと約束をして、今に至る。
僕の方はというと、佐々木に訳と全ての顛末を真摯に説明し、黄色い百合が出てくるアニメのブルーレイボックスをおごるという事で、許しを得る事ができた。
僕らの秘密は、この日を境に全部なくなった。
頼み事 ルム @lmu_poplife
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます