あとがき
明確に覚えていると言った日本男児風の男の顔についてこのあとがきを書いている時点で記憶から消えようとしていることに気がついた。文章中の言葉からその顔を想像する事でしか彼の顔を認識できない。つまり彼の顔を明確に覚えていたのは目覚めた直後の自分でしかなく、それはもしかすると夢特有の幻想であったのかもしれない。今となっては本当にその顔を見たのかすら疑わしい。それでも別段あの夢をもう一度見たいなどとは思うはずもなく、彼の顔を覚えていなかった昨日の自分に戻るだけの話であり、そこになんの不利益も生じないのである。これがもし昔、想っていた大事な人だったりした場合、記憶から消えていたという事実もそして改めて忘れるという事実も恐怖でしかなかっただっただろうと思うし、そうでなかったことをせめて喜ぼうと思う。
今朝見た少し不思議な夢について 秋田健次郎 @akitakenzirou
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