浜田の少女 10

浜田市から帰った僕は、茨木市で再び平凡な日々を送っていた。


幸子のことがいつも頭にあったが、僕にはどうすることも出来なかった。


僕は会社では何事もなかったかのように振る舞い、沖本は組合活動に忙しく働いていた。


ある日、寮に電話がかかって来た。


「黒住さん、私、幸子です!」


「えっ!」


僕は驚いて言った。


「どうしたの?」


「私、大阪の病院へ就職したんです。黒住さんを追いかけて来たんです」


「今どこにいるの?」


「阪急デパートの前です」


「そこにいなよ。迎えに行くから」


「はい」


僕は予想外の展開に、多少戸惑いながら、大阪へ急いで向かった。


幸子はうれしそうに立っていた。


僕は彼女を抱きしめた。

終わり。

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浜田の少女 ミッソー @mittsoo

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