付(つけたり)
二人の死を聞いた市三郎の悲しみは大きかった。周りの者が心配したが、初七日が明けるまで部屋に閉じこもった。
それが明けての朝に、武家屋敷が立ち並ぶ大路の松の木の下で、一人の若衆が肩先からあばらまで斬下げられて即死していた。
そして昼頃、西蓮寺の桜の木の下、葉右衛門に酒を注いだその場所で、市三郎が錦の袴と振り袖をまとい、膝を白い襷で縛り正座を崩さぬようにして喉を突いてこれも夢と成り果てた。
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